「宇喜多の捨て嫁」「天下一の軽口男」などや、講談社の決戦シリーズでおなじみ(そして朝井まかてとともにあのシリーズでひときわ光り輝く)木下昌輝。今回もかなり読ませます。
絵金(えきん)と呼ばれる幕末から明治期にかけて活躍した絵師。ひたすらに保守的な狩野派から出て、土佐でおのれの欲望のままにグロテスクな絵を描き続けた男。
木下は彼を中心に置きながら、しかし絵金という人物よりも、彼とかかわった人間たちがどのような人生を送ることになったかをメインにつづっている。武市半平太、市川團十郎、吉田東洋、そして坂本龍馬……次第に明らかになるのは、絵金が本当に描きたかったものとは何だったか、だ。ここは唸ったなあ。
わたしは美術史に暗いので、弘瀬金蔵という人物のことをまったく知らなかった。しかし高知県では今もなお彼は絵金として親しまれ、絵金祭りと額縁されて各家が屏風絵を披露したりしているのだとか。
ふーん、どんな絵なんだろう……うわーグロい。しかし激しく魅力的であることは確かだ。あれ?おれはこの人の絵をどこかで見たことがあるぞ……そうか必殺シリーズに何度もインサートされたのは絵金の作品だったのかっ!
高知県に行く機会があったら(まずは香川県でうどんをいただくけれど)、絵金の作品をいっぱい見てみたいな。
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