「死刑にいたる病」があまりに面白かったので、白石和彌監督作品アゲイン。しかし見始めるのに時間がかかった。並大抵の暗さではないような雰囲気。
当たってました。とにかく主人公のダメさが半端ない。
川崎。競輪場に自転車で向かう郁男(香取慎吾)。スタンドで同僚である健司(宮崎吐夢)といっしょになる。健司と郁男は職場で浮いており、リストラされる。ギャンブル依存症である郁男は、宮城に向かう。それは同棲している亜弓(西田尚美)の実家があり、亜弓の父親(吉澤健)がステージⅣのガンであることが理由だった。競輪場のない宮城で、やり直すつもりの郁男だったが、職場の同僚からノミ屋を紹介され……
どんどん堕ちていく郁男。しかしそんな彼を近所の小野寺(リリー・フランキー)や亜弓の父親らが救う。それでも競輪から逃れられない。
競馬やパチンコなら、ひょっとして自分ものめりこんだかもしれないという気配はあるが、競輪や競艇となるといかにも危ない。出身地とか先輩後輩の関係がどうとか、あまりにも危ない世界。そんな世界に耽溺する郁男は、亜弓の金をくすね、亜弓の父親の船を売った金もギャンブルにすべてつぎ込んでしまう。
そんなダメダメな郁男に、試練が訪れる。亜弓が何者かによって殺されてしまうのだ。
白石和彌作品だから暴力描写は激しい。しかしこの映画は役者がみんないい。特に亜弓の父親を演じた吉澤健と、娘の恒松祐里がすばらしい。
宮城を舞台にしたのだから、背景に東日本大震災を置き、ギャンブル、死、病気、やくざ……これだけ暗いネタを散りばめながら、むしろそれを突きつめることでラストは爽快。見逃さなくてよかった。
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