事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

島にて その3

2020-07-16 | 邦画

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この「島にて」は、あとで監督が言ったように「何事も起こらない」映画だ。一応、飛島中学校の一学期始業式から卒業式まで、という縁取りはあるものの、島民へのインタビュー集の趣き。

あ、先走りすぎたか。わたしにとってはあまりにも自明のことなので忘れてたけど、飛島って存在を多くの人は知らないですよね。かつて秋田県に所属したこともある(秋田との県境あたりがもっとも近いはず)飛島は、山形県でただひとつ、人の住む離島だ。

酒田との定期船でおよそ75分かかる。波の穏やかなときはいいけれども、波が高かったりするとこの75分が長いんだ(+_+)。分針が動かない動かない。

基本的に漁業と観光で成り立つ島。産業構造の変化によって人口は激減。だから、移住した渋谷家の三人の子どもたちがそれぞれ卒業したことで、学校はふたたび休校ということになった。いちばん下の新(あらた)の卒業は、その意味で重い。お父さんの祝辞が感極まるのも無理はない。

なんか、わたし個人のことだけ語ったようだけど、まさしく個的に徹した映画だった。島民たちの人生(もんのすごくディープな庄内弁!)、移住者たちの人生がクロスする場としての飛島。特にじいさんやばあさんの話を聞いていると、しみじみと泣けてくるのだった。

新庄出身の大宮浩一さんと、島民からすれば孫娘のような田中圭さんの共同監督。大宮さんは言う。

「わたしの同級生が飛島の学校に勤めてましてね、生徒が最後のひとりになったと」

あはは。あの人の同級生だったのか。パンフレットの販売も行われたんだけど、コロナのためにすでにサイン済みのを購入……おっとわたしの前で売り切れ……ということで普通のサイン会状態に。

「音が、すばらしかったですね」と田中監督へ。

「ああ、鳥ですね!?」喜んでくれた。

そう、バードウォッチャーにとって天国のような島なので、のべつまくなしに鳥が啼いていて、実にクリアに拾っていたのだ。ぜひ見て!ぜひ聴いて!鳥だけじゃくて人の声もすばらしいんだっ!


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