第31回「史上最大の決戦」はこちら。
わたしは軍略というものがよくわからない。
地勢とか風向きとかを読み、自軍の意気を確かめて……たとえば司馬遼太郎の「坂の上の雲」において、バルチック艦隊がどの航路をとるかがわからずに、秋山真之(天気晴朗なれども波高しの人ね)がギリギリまで迷うあたりの描写には凄みがあった。後に秋山が精神を病むのも無理ないっす。だから素人にはわかるもんじゃないと開き直っている。
で、小牧山城のお話。圧倒的な秀吉の軍勢の前に、家康はひたすらに守りを固める意味で土塁を築いたのかと思ったら……
軍略がわからないわたしでもみごとな回だと思いました。こういうのが見たかったのが本音のところ。古沢脚本もこういうのが書きたかったに違いないっす。肌合いとして「大脱走」よね。
そして今回もムロツヨシの狂気の芝居が炸裂。負け戦なのに、織田の威光をまだ信じている連中を一掃できたとうそぶくあたりの呼吸がいい。これから彼が、どれだけ狂った政治を行うかが予感できる。
にしてもSNS(高札に誹謗中傷)にぶち切れるあたりは古沢さんの意志がたっぷりと仕込んであるんでしょう。家康も悪い。すごく悪い。
今回、女優は広瀬アリスと木村多江(わたくしはFM「世界にひとつだけの本」の月原さんのファンでございますよ)がチラッと出るだけ。他は汗臭い男たちの物語。
しかし徳川側は、いくら顔を泥で汚しても、デオドラントな美男子がそろっているあたりが笑える。だからこそ、松山ケンイチの芝居が際立つのだろう。
さて。次回は本当の意味での「孤独のグルメ」。「裏切り者」につづく。
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