なにしろ64年まであったのだから、昭和というのはそれにしても長かった。でも平成だって考えてみれば十分に長い。そんな三十年を、お笑い関係の14の事件をもとに概観。ネタはお笑いだけれども、意外なほどシリアスな語り口。品川祐へのむき出しの嫌悪(表紙にまでなってる)だけはちょっとたじろぐぐらいでしたが。
歴史を総括するのだから、その登場人物たちには終わりが見えているはず。でも平成に活躍した芸人たちは(上岡龍太郎と島田紳助をのぞけば)ほとんど代替わりしていない。
タモリ・たけし・さんまのBIG3は現役だし、彼らを追撃するのがウンナン、とんねるず、ナイナイ、爆笑問題という構図に変化はない。ニューフェイスと断言できるのはサンドウィッチマンとオードリーぐらい?なんかいろんなファンから怒られそうだけど。
それはおそらく、お笑い芸人と他ジャンルの芸能人(たとえば大泉洋とか、佐藤二朗とか)の境目が……いやいやえらいことはわたしは言えないのでした。
だって、だいじな場面を、わたしはことごとく見逃しているからだ。この書でもとりあげられている、笑いの潮流を変えたとすら言われる「鶴瓶上岡パペポTV」を一度も見ていないし、「笑っていいとも」のグランド・フィナーレもスルー。
要するに平成という長い時間は、人々が、は言い過ぎかもしれないけれども少なくともわたしが次第にテレビを見なくなっていった過程そのものではなかったか。お笑いだけでなく、ひとりのスターにみんなが熱狂する時代の終わりの始まり。
それでは令和は、令和のお笑い芸人たちは、はたしてどんな時代をつくるのだろう。意外に、とんでもないトリックスターが登場するのかなあ。
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