「時をかける少女」「サマーウォーズ」につづく細田守作品。「おおかみこどもの雨と雪」はどういうものかパスしています。というのも、毎回大感動させてくれる細田作品に、なお泣かせそうな「雨と雪」は、ちと中年男にはつらそうだったし。
その点、バケモノを大フューチャーした今作(英語タイトルはThe Boy and The Beast)は、笑いの要素が多そうで気が楽だ。
「どんな映画だったの?」
と妻に訊かれて
「っとぉ、役所広司と大泉洋とリリー・フランキーが西遊記みたいに……」
「なにそれ(笑)」
大声で笑われてしまいました。前半は、確かにカンフー映画スタイル。老師が弟子に知恵と技をさずけるという、いわゆる教養小説だ。
しかし後半は転調する。
細田作品の基調音である「人情噺を極彩色で描く」路線が爆発。
「しゃべれどもしゃべれども」などの奥寺佐渡子脚本を、華麗なCG(紙吹雪とか)で感動にもっていくのが常套手段だったのに、今回は細田自身の脚本。造りに粗いところはあるけれども、大風呂敷を広げたホームドラマであることに変わりはない。
ネタバレになるのでくわしくは明かせないが、主人公の少年は、父親も、もうひとりの父親も、恋人(「私たちが負けるわけないじゃない!」は、ナウシカの「僕たちのために逃げてくれ」に匹敵する名言だな)も、そして母親も(“あいつ”が母親であることは写真立てのシーンでまるわかり)、とにかくすべてを得る。いいのかここまでハッピーエンドで。
いいんですよ。それまでが涙でグチョグチョだったんだから。いやー今回も泣かせていただきました。
みごとな大ヒット。これでまた日テレは金を出してくれるだろうし、日テレとしてもジブリに次ぐもうひとつの収益の柱ができたのだ。こちらも、みごとなハッピーエンド。
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