70年代初頭。ほとんど息も絶え絶えだった日活が、いったいどうしてまたこれだけの大作を製作できたのか。小学生のとき、バスにでかでかと派手なポスターが貼ってあったのも覚えているくらい、宣伝も気合いが入っていたのだ。
原作は五味川純平。関東軍の突出と陸軍上層部との軋轢、その経済的背景が書き込まれていることがうかがえます。映画化したのが、既にクミアイが主導権を握りはじめた日活だったことと、監督が旧左翼の重鎮、山本薩夫なのでいかにも左がかったお話になっている。
そのせいでネットでは罵倒の嵐だったりする。でも、とにかくめちゃめちゃに面白いんですよ。やっぱり山本薩夫は活劇体質の人なんだなあ。どう撮っても面白くなってしまうあたり、さすがです。
物語の中心に、新興財閥の伍代家をもってきたのがうまい。三井や住友のような老舗らしい保守的な商売をしていては埋没してしまうので、当主(滝沢修)の弟(芦田伸介)は軍と結託して、というよりむしろ軍を焚きつけて満州進出へ誘導する。
芦田伸介、三國連太郎、高橋悦史(長男)が悪役で、かつ好戦的(三國はちょっと色合いが違うけれど)。加藤剛、高橋幸治、二谷英明が善玉で厭戦的という図式的すぎるぐらいに図式的なのも、時代背景が複雑だから仕方がない……というか山本薩夫の映画はいつもそんな感じだったような気もします(笑)。
浅丘ルリ子、高橋英樹、石原裕次郎、二谷英明という日活どまんなかのキャストに新劇組を加えて豪華絢爛。ほとんど必然性もないのに女性の裸がやけに出てくるあたりも、なんか日活っぽい。活劇。
第二部につづく。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます