東京バンドワゴンのシリーズを、わたしは大好きだったの。
下町の古本屋を営む大家族の物語。「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」を明らかに意識して、しかもミステリとして成立させているのだ。還暦を迎えた伝説のロッカー(わたしは内田裕也がモデルだと思いましたが、ロッド・スチュワートも加えてあるそうです)、愛人(大女優)の子、そして語り手であるもう亡くなっているおばあちゃん……
副題にはビートルズの曲名が多く使われていて(番外編はちがっている)、毎年刊行されていてもう十数作。累計165万部というから立派なベストセラーである。
ところが、わたしは途中でこのシリーズから離れた。登場人物たちのいい人コンテストっぽい感じが息苦しくて。だから司書が
「これ、東京バンドワゴンのシリーズなんです。読みます?」
「あー、わたしこのシリーズをギブしちゃったんですよねえ」
「でも、時代小説なんです」
「え」
いったいどういうことだろう。読み始める。なんと堀田家のご先祖様のお話。しかも内容は超能力合戦!“隠れ”と呼ばれる能力者が一定の割合でいる世界。その能力とは
・強烈な嗅覚で人の気配を感知できる
・怪力
・隠れの能力を消す
・ある目的のためにどちらの選択肢がいいか感じ取れる(笑)
……X-MENに明らかに影響を受けている。そして、時代小説だからこそ、過剰な感情表現が邪魔にならない。
おそらく小路幸也は、東京バンドワゴンの名を借りて、新しい方向性を読者に提示してみせたのだろう。それで怒る読者もいるようだが、わたしは満足。
亀梨和也主演でドラマ化されたDVDを借りてみようかな。おっと、脚本は「青天を衝け」の大森美香さんだったのか。おーしディスカス。
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