自慢だか謙遜だかよくわからないが、私は「吉野家道」有段者である。学生の頃から通い続け、どんな知らない街に行こうが、このあたりだろう、と見渡せばそこには例のオレンジ色の看板が待っている。
ど派手なネオン輝く新宿歌舞伎町でもあの色はひときわ目立ったし、80年の倒産前、献血をした人間に牛丼券が支給されるサービスがあったときは、本気で血を売ろうと思ったぐらいだ。貧乏だったなあ。
「並。」
と歩きながらオーダーし、「奥へどーぞー。」などと店員に余計なことを言われる前にズンズンと進む。
他のファーストフード店と違い「お味噌汁などもいかがですかぁ?」とか変な御愛想を振りまかないのが吉野家の潔いところ。とにかくすぐに出てくるお茶を口に含み、オーダーが終っているくせにメニューを眺め、変更がないかを確かめる。
といっても今までに変更などめったにあったためしはなく、せいぜい定食系が追加されたことと、腹を空かせた学生たちには夢のような「特盛」が設定されたぐらいだろうか。
その定食で一番笑ったのは「納豆定食」なるメニューがあったことで、「ほう、納豆定食ねぇ…ん?……おい、メインディッシュは何なんだ?!」さすが吉野家である。よくわからんけど。
続きます。
情宣さかた裏版より。
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