第1話「死者からの伝言」はこちら。
のっけから断定。古畑任三郎のファーストシーズン(正確にはこの全12話のタイトルは「警部補 古畑任三郎」)における最高傑作は第2話「動く死体」だ。
歌舞伎役者、六代目中村右近に扮した堺正章が、殺してしまった(というより過失致死だろう)マネージャーの死体をどう始末するかの物語。
舞台の上にいる人間→役者しか犯人ではありえないとする古畑の推理もみごとだけれど、それ以上に
『なぜ人を殺したあとにお茶漬けを食べたのか』
というひっかけが凄い。右近が途中でコンビニに寄るのは、レシートを使ったアリバイづくりなのかと思わせて……
フジテレビと共同テレビが今までにない推理ドラマをめざし、その主演を田村正和にお願いするときに持っていったのがこの「動く死体」の脚本。これだけのホンがあれば、と田村も承諾することになったわけだ。それほどの出来。
小狡そうな歌舞伎役者を、堺正章が絶妙に演ずる。自らが舞台に置いた死体を見て
「いぃ死に顔だぁ。」
自分が犯人に目されていると感じとってからの古畑とのからみもうまい。
右近:あたし(が犯人だと)?
古畑:ふふふ。
右近:あたしなの?
古畑:それはおいといて。
右近:おいとけないよー。
……古畑の語る、信じてはいけない三つのことも爆笑。
①年寄りの自慢話
②通信販売の売り文句
③犯行現場における止まった腕時計
まったくだ。
第3話「笑える死体」につづく。
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