三崎亜記、とくればデビュー作「となり町戦争」や「失われた町」など、奇妙な味わいが特徴。九州で市役所職員をやっていた出自もあって応援しています。
ただ、この「コロヨシ!!」にはちょっと気がのらなかったの。なにしろ長大。“奇妙”であるだけにダークな作風が多かったので、ここまで長いのはちょっとしんどいなあ、と。
読み始めてびっくり。確かに意匠は変わっているけれど、ストーリーははっきりとスポ根青春マンガ。もっと言えば「スラムダンク」そのもの。
・調子こいちゃう主人公(桜木)
・クールでコーヒー牛乳好きなライバル(流川、仙道)
・一見おだやかだが実はとんでもない顧問(安西先生)
・自分の世界で完結してしまっているものだから天然に見えるヒロイン(晴子ちゃん)
こんなスラムダンクっぷりが徹底しているので、ワクワクしながら読み進めることができる。過激な特訓、次から次へと現れる強敵、どう考えても最初からバレバレな一人二役のメガネ美人教師などのマンガ的展開+貴種流離譚+教養小説の手法がてんこ盛り。
しかし、あつかっているスポーツはなんと『掃除』。
いや、手ぬぐいをあねさんかぶりにして割烹着でやるあれではなくて(どんな昭和なイメージだよ)、バドミントンのシャトルを使ったフィギュアスケートみたいなものだと思っていただければ……よくわかんないですか。そりゃそうです。おそらくは作者自身もよくわかんないまま書き続けていた(だからどんどんイメージを勝手にふくらませることができる)に違いないんですから。
画像は、「コロヨシ!!」にインスパイアされたに違いないカルピスソーダ学園のCMから。読者に教えてもらいました。
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