その137「暮鐘」はこちら。
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」
警察は爆発を止めることができるのか。(講談社BOOK倶楽部)
……「このミステリーがすごい!2023年版」第1位を獲得した作品。わたしはこの人の江戸川乱歩賞受賞作品「道徳の時間」に懐疑的だったので、彼の作品を久しぶりに読む。
とてもよくできたお話だし、動画サイトの使い方も画期的だ。なにより、何を考えているのかわからない容疑者が、次第に魅力的に見えてくるあたりの仕掛けがすばらしい。
ただね、ないものねだりかもしれないけれど、結末はひねりすぎじゃないですか。
その139「外事警察」につづく。
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