昨日、増上寺に行ってしまったので、今日は予定外に時間が空いた。そして、うすうす自分でも「この展覧会を見たいんじゃないのか」と思っていたところに向けて出発だ。
何と便利なことに、JRの蒲田駅から桜木町まで電車一本20分で行ける。途中、川崎の直前で強風のため電車が一時停止したが、数分遅れで運転開始。無事に桜木町に到着することができた。
横浜は風が強い。しかし、動く歩道などを駆使したのと、雨がいったん収まったタイミングもあり、あまりぬれずに横浜美術館に到着することができた。
そう、ちょっと見たくなっていたのは「村上隆のスーパーフラット・コレクション展」なのである。遠目に大行列ができていたので焦ったが、それは子供たちが美術に触れるイベントだったらしい。展覧会のほうはまたもや行列の3番目となり、結果的にほとんどストレスなく見ることができた。
気になったものを羅列する。
漢時代の人物像、縄文式土器、弥生式土器、平安後期の木造女神像。
イギリスのスリップウェア(浜田庄司のような釉薬だった)、田中一村「梨花」、魯山人「織部四方鉢」(緑と青が大胆)。
魚とり具、鉄うなぎ取り、岡崎乾二郎の作品。

→この展示室は作品名の表示もなく、高すぎて見えない棚まで大量に展示がしてある。私は見るべきものを見落とさなかっただろうか。
竹熊健太郎「JR中央線”夢のトーマス化計画”とは何か?」:飛び込み自殺の多い中央線の電車をトーマス顔にしてしまえば、バカバカしくて自殺者が減るのではないか、というアイディアを電波的表現で書いたもの。
タカノ綾「パワーショベルお告げ」「トラックお告げ」:若い女性の運転手が、道端の女性の前にパワーショベルやトラックを止め、指をさして何かを言おうとしているシーン。いったいどんなお告げが下るのか。
サーナ・ホン「枝」:ピンク色の森、木の枝、熊と蓄音機を回す少女。
ミカ・ロッテンバーグ「ノー・ノーズ・ノーズ(真珠店バージョン)」:湿った作業場でひたすら真珠貝から真珠を取り出す女性、そして真珠の仕分け工場での作業シーン(画像)が延々と続く。画像コーナーから出てくると、真珠店を模した作りのカウンターがあり、そこで感じる違和感は強烈だ。
ダミアン・ハースト「壮大なる夢」:銀地にメタリックペイントをした本物の蝶(素材に”蝶”と書いてあった)を張り付けた作品。綺麗だ。
灰原愛「午後の光、風の匂い、君の涙」:あまりこれまで見たことのない人物彫刻。

→あまり可愛くない謎のぬいぐるみ。巨大。

→登山姿の巨人。身長2m50cmくらいだから、絶対に人間としてあり得ないサイズではない。
さて、展覧会の感想であるが、大変見ごたえがあったといえるだろう。「スーパーフラット」というのは平面作品だけを展示したものではなく、ありとあらゆる時代と地域の作品が、既存の価値観を排した中で展示され、見ることができるという狙いらしいのだ。確かに驚くほど沢山の作品が、どれが目玉というのでもなく、とにかく展示されているのだ。「見る目がないやつは、見落としちゃうぜ」「お前たち、自分にとって本当にいいものをこの中から見つけられるか」という村上の真剣なメッセージが伝わってくる展覧会だった。
私、どうもこの人の作品が好きではないのだが、この展覧会には参った。当たり前だが、プロというものは素人の何十倍の真剣さで物事を見ているのかもしれない。全体的な風景として撮影するのであれば写真OKだったので、もっと大量に写真はあるのだが、ぜひ自分の目で見てほしいという気がする。
この後、常設展も高速度で見て回り、横浜へ。
横浜からは京浜急行で羽田空港へと移動。飛行機は14時の便を取っており、あまり体に負担をかけない日程にしておいたのだ。しかし、天候のためやや遅れ気味であることから、直前になって13時の便に変更して帰ることにした。
もう時間がない。羽田空港ではディスカバリーミュージアムで「中国古代の造形」展を見学。重要美術品7点と、作品数は少ないものの、なかなか充実した展示であった。

→「加彩舞伎俑」。