魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

深海魚56.ベニテグリ

2009年07月11日 19時26分22秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

鮮やかな色彩のネズッポ科の美種、ベニテグリFoetorepus altivelis   (Temminck and Schlegel)です。

ネズッポ科の魚といえば投げ釣りで釣れるネズミゴチやヤリヌメリなど浅海性の種が代表的ですが、深い海にもネズッポの仲間は多くみられます。このベニテグリはその深海性ネズッポ科魚類の代表的な種といえるのではないでしょうか。

ネズッポの仲間は鰓蓋棘を持っています。このベニテグリもちゃんと有しています。この棘には毒はないようですが、うっかり触ると痛みます。また網などに引っかかることもあります。

鰭を広げてみました。ベニテグリもネズッポ類で性的二型が知られています。雄は第一背鰭に黒色紋がなく、雌ではそれが見られます。この写真の個体は雄です。

東京ではめごちの天ぷらと称して親しまれるグループですが本種はやや大型になり、天ぷらの原料としては普通の浅瀬にいるネズミゴチなどに比べると劣るようです。

ということでフライにしてみました。ポン酢でたべるという食べ方で、とても美味しかったです。ベニテグリはトロールではよく漁獲される種で、練り製品の原料にされます。

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深海魚55.ハナメゴチ

2009年07月10日 19時39分52秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

トロールでもコチの仲間は多々獲れます。その中でもよくみられたのがこのハナメゴチRatabulus megacephalus (Tanaka)でした。

ハナメゴチはメゴチによく似ている種で、虹彩皮膜が皮弁状でないのが特徴です。メゴチとは間鰓蓋部に皮弁がなく、第1背鰭後端が黒くないことが特徴です。

分布域は南日本~東シナ海でやや深い海の大陸棚周縁部に生息しています。コチの仲間はトロールでもよく漁獲されていますが小型種も多く、食用になるのは本種やメゴチ、マゴチなどの中・大型種です。他にはクモゴチやセレベスゴチなども漁獲されます。

コチの仲間は待ち伏せ型の捕食方法をとる肉食魚です。泳ぎはあまり得意ではなく海底にじっとして魚が通過するのを待ち、捕食します。

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深海魚54.トゲキホウボウ

2009年07月09日 11時35分23秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

今回はトロールで5種のキホウボウが採集されました。最後の1種、トゲキホウボウScalicus serrulatus   (Alcock)です。

今回採集されたキホウボウは5種で、最も多かったのがキホウボウ、次いでヒゲキホウボウ、イソキホウボウの順に多く、本種とオニキホウボウは1個体ずつしか漁獲されませんでした。

トゲキホウボウの特徴としては歯を有しないこと、吻突起がまっすぐであることがあげられます。また眼から前方に小さな棘があり、これが和名の由来になっていると思われます。

体側の暗色斜帯はソコキホウボウにもみられるようで、同定のポイントにはなっていないようでした。

キホウボウ科4種の比較です。上からイソキホウボウ、トゲキホウボウ、キホウボウ、ヒゲキホウボウ。本種は中型種で、20cmくらいになるようです。

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深海魚53.ナガタチカマス

2009年07月08日 20時52分35秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

クロタチカマス科の魚は以前カゴカマスというのを紹介したことがありました。今回はそのカゴカマスよりもさらに大きくなるナガタチカマスThyrsitoides marleyi   Fowlerの登場です。

ナガタチカマスはクロタチカマス科のナガタチカマス属に含まれています。ナガタチカマス属は本種のみからなります。

他の種とは、細長い体つき、顕著な腹鰭があり1棘と5軟条があること、側線は2本で2本目は体の中央付近をはしることなどにより区別されます。

分布域は南日本、南アフリカ~ニューカレドニアにいたるインド・西部太平洋と紅海です。わが国では高知沖に多いのか一時Mimasea taeniosoma Kamoharaという学名がついていました。この学名は1936年に提唱されたもので、現在は1929年に提唱された学名であるThyrsitoides marleyi   Fowlerのシノニム、すなわち同物異名とされました。この例からもわかるように、学名の命名というのは「早い物勝ち」がルールになっています。もっとも、タイプ標本など色々絡んで複雑なことも起こりえるのですが・・・

本種の生息地は大陸棚周辺の海域で、中層を遊泳します。その鋭い歯からも明らかなように肉食性で小魚やイカなどを貪欲に捕食します。

味についてですが、大型の個体は美味しいものの中骨をはずすのに手間が掛かりそうです。小型の個体は小骨が多いためあまり焼いて食べるには適しません。干物がいい?

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深海魚52.イバラトラギス

2009年07月07日 19時47分52秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日の深海魚はイバラトラギスChrionema furunoi   Okamura and Yamachiです。水深180~300mの海域に生息しています。

イバラトラギスは「トラギス」という名がついてはいるものの、トラギス科ではなく同じスズキ目ワニギス亜目のホカケトラギス科に属します。ホカケトラギス科の魚は日本に6属13種(うち1種は未記載)が報告されています。世界では11属47種が知られます。

本種をふくむイバラトラギス属は世界から6種、うち日本から3種が知られています。本属魚種は上顎後端に皮弁がない、吻端に棘がない、ことなどで区別されます。

本種は日本産のほかの2種とは胸鰭に帯があることで区別されますが、この写真からはよく見て取れません。

ホカケトラギス科の魚は本種やアイトラギスなどがトロールにより、時として大量に漁獲されるのですが、日本では練り製品の原料くらいにしかならないようです。しかし南米のブラジル~アルゼンチンにいたる南西大西洋海域には同科としては大型(50cm)のペスパロPercophis brasiliensis Quoy and Gaimardという種がおり、それは食用として利用されています。

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