魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

深海魚51.ヒゲキホウボウ

2009年07月06日 20時06分12秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

今回紹介する深海魚はキホウボウ科のヒゲキホウボウScalicus amiscus   Jordan and Starksです。

ヒゲキホウボウ属は近年復活した属です。本種はかつてイソキホウボウ属に含まれていましたが、形態系統の観点から別属に入れられました。この種は腹部に長い鬚を持つのが特徴です。残念ながら写ってはいませんが・・・

吻突起は短く、正三角形です。この特徴でよく似たナンヨウキホウボウやトゲキホウボウなどと区別することが出来ます。

分布域は南日本から東シナ海にかけての深海で、この個体はオニキホウボウやキホウボウとともに水深270mから漁獲されました。漁獲されても利用価値はなく、棄てられてしまいます。大きいものでは体長20cmを超えるようですが今回漁獲されたのは10cm前後の小型の個体でした。

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深海魚50.カワラガレイ

2009年07月04日 20時06分53秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日はやや深い海に多く生息するカレイに近縁なカワラガレイPoecilopsetta plinthus   (Jordan and Starks)の登場です。今回で記念すべき50回目ですね。

カワラガレイはカレイと名がつき、カレイ科に近縁ですがカレイとは別のカワラガレイ科に含まれます。カワラガレイは無眼側の側線が顕著でなく、無眼側の胸鰭があることでカレイ科及びベロガレイ科と区別できます。

また、尾鰭には大きな二つの斑紋が有ります。

このカワラガレイは成魚でも15cm程度という小型種のようで、トロールで多数漁獲されても殆ど利用はされていないようです。

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深海魚49.ヨロイイタチウオ

2009年07月02日 19時34分54秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

あと1種で50匹達成、今日はヨロイイタチウオHoplobrotula armata   (Temminck and Schlegel)です。

ヨロイイタチウオは深海性のアシロ科魚類の代表的な種です。日本産アシロ科魚類としては大型で、全長75cmに達します。

ヨロイイタチウオは以前紹介したウミドジョウによく似ていますが、明瞭な暗色紋がなく、腹鰭軟条が2本であることで見分けられます。また、頭部もウミドジョウと比較すると、角ばっているように見えます。

通常、本種の体色は茶褐色で虫食いのような模様があるのですが、鱗がはがれやすいようで、底曳網で漁獲されると多くの個体で模様の欠損がみられます。

南半球に生息するリングや、キングクリップなどは重要な食用魚として知られていますが、日本ではアシロの仲間はあまり食用にはしません。ただ、本種は例外で、八幡浜では「メンタイ」と呼び食用として利用します。白身の肉はフライなどによくあいます。また練り製品にもされます。

 

※標本を精査しましたらシオイタチウオでした。

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深海魚48.イゴダカホデリ

2009年07月01日 19時26分56秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

今日の深海魚は、ホウボウの仲間のイゴダカホデリLepidotrigla alata   (Houttuyn)です。

カナガシラ属魚種は日本から11種(うち1種は未記載)が報告されています。その中でもこのイゴダカホデリは最も古く、18世紀中に、長崎で得られた個体を元に記載されています。分布域は南日本から台湾にかけてとシナ海に限られます。

カナガシラの仲間の同定のポイントは色々あります。本種の場合胸鰭が短く、吻先端に発達した1棘があることで、カナドやトゲカナガシラなどと見分けられます。

ホウボウ科のうち、ホウボウは大形で味もよく高級食用魚となりますが、本種を含むカナガシラ類は小型のものが多く(本種では全長20cmになる)、練製品の原料にされることが多いです。ただし味は決してまずいわけではなく、産直市などでも稀に売っています。

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深海魚47.オニキホウボウ

2009年06月30日 19時34分41秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

奇妙な形状の深海魚であるキホウボウ類。その中でもこのオニキホウボウGargariscus prionocephalus   (Duméril)は特異的なルックスの魚です。

オニキホウボウはオニキホウボウ属に含まれる唯一の種です。頭部に巨大な棘を持ち、鰓蓋骨に大きな棘を備え、上顎にのみ歯があるのが特徴です。分布は和歌山県、土佐湾から台湾(台湾産魚類データベースも参照のこと)、フィリピン、スラウェシ、オーストラリアにかけてと分布域は広いのですが、個体数は多くはありません。硬い鱗に覆われており、まるで「プレコ」のようです。

ちなみに「プレコ」とはこんなの↓(種はマダラロリカリア)

この魚は非常に珍しい魚で、あまり見つかっていないようです。この貴重な標本は高知県足摺沖の水深270mからトロールで漁獲されましたが、ベテランの漁師さんの方々もみたことはなかったようです。この個体は耳石を取り出したのち、固定保存されました。

※高知大のほうへと旅立ちました。(2009年8月)

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