久しぶりのフィリピン魚、今回は77回目となります。今回ご紹介しますのはヌノサラシGrammistes sexlineatus (Thunberg)です。
ヌノサラシはスズキ目ハタ科の魚なのですが、私たちがよく市場や水族館などで目にするような (さすがに食卓にはそう頻繁にはでないでしょう・・・) ハタの仲間とはイメージが若干違います。体は黒っぽく、体側には白色縦帯が入りますが、写真のように途切れ途切れになったような個体もあります。
本種は、最近まではアゴハタやルリハタなどとともに「ヌノサラシ科」というグループを形成し、その中に入っていました。現在はハタ科のヌノサラシ族の中に入っています。この仲間には日本産ではヌノサラシ、アゴハタ、ジャノメヌノサラシ、トゲメギス、ヤマトトゲメギスという5属5種が含まれています。
背鰭は7棘で、ほかのハタ科の仲間よりも少ないです。ほか、ジャノメヌノサラシは6~7棘、アゴハタは8棘、トゲメギス6~7棘、となっています。背鰭のところに白いものが付着していますが、これは体表のクリーニングを仕切れなかったのです。
発泡スチロールの封を開けたら、このような感じでした。体表は粘液で覆われています。この仲間は体表から粘液毒グラミスチン (従来のヌノサラシ科の学名にちなむよう) を出すことが知られており、輸送中にほかの魚を殺すことがあります。しかし、もっと注意しないといけないのは、本種は大変貪欲な魚で、ほかの魚をよく捕食してしまいます。観賞魚として飼育されることもありますが、本種との混泳については、注意が必要とされています。