ネズッポ科の魚は世界中の熱帯・亜熱帯域に生息していますが、似たものも多く、同定が難しいものです。今回のフィリピン産ネズッポ科魚類も、未同定です。
この個体は、フィリピン・レイテ島のタクロバン市場で採集された個体です。同地には大きなマーケットがあり、トロールなどで採集された魚があつまるようです。この個体もその中の一つ。
特徴その1 臀鰭は暗色で、縞模様があり、その特徴はトビヌメリの雄ににています。しかし、第2背鰭鰭膜の模様も、トビヌメリと異なり、縞模様になっています。
特徴その2 尾鰭には黒色斑が多数あり、下半分は黒くもなく、暗色帯もありません。そして尾鰭軟条の数本が長めに伸びています。これはハタタテヌメリの特徴。ハタタテヌメリは自分では現物を見たことがなくよくわからないのですが、写真などで見る限り背鰭や臀鰭の模様が異なり、背鰭の形も異なるようです。
ネズッポの仲間はいわゆる「メゴチバサミ」でつかんだりしますが、その理由は鰓のところにある棘 (正しくは前鰓蓋骨棘という)に刺されないようにするため。この棘は内側に強く大きな突起が多数あります。ネズミゴチやヨメゴチとは違う形です。
いずれにせよこの種類の正体は「不明」、もし私がこの子の出身地であるタクロバン市場でサンプリングを行うようなことがあれば、この仲間は真っ先にキープの対象でしょう。