写真の魚は普通のヘビギンポではありません。ミヤケヘビギンポEnneapterygius miyakensis Fricke, 1987と呼ばれる種類で、世界でも三宅島と八丈島の海にのみ、生息する種類です。
ヘビギンポの仲間は意外と種類が多く、和名がついているものは27種類いますが、このほかにも未記載、あるいは国内から標本が得られていない種類が多数あるようです。本州沿岸のタイドプールでも一部の種類ではあるのですが採集でき、伊豆諸島、沖縄、小笠原まで行きますとさまざまな種類が見られます。
ミヤケヘビギンポは青森県~沖縄県まで広い範囲に分布するヘビギンポにそっくりです。一見見ただけではヘビギンポとほど変わらないように見えます。採集してみた際に、あれ、なんかやけに赤いヘビギンポだなあ、とおもいつつも、この仲間はよく色彩を変えるので、無視していました。
別の個体が輸送中に「あがって」しまっていたので顕微鏡で細部を観察してみました。ヘビギンポの仲間は案外酸欠に弱い面があります。運動量が多いからでしょうか??
眼の前に「前鼻管」というのがあり、それには皮弁がついています。写真の中、矢印で示したのがその皮弁です。この皮弁が3つに分岐しているのが、ミヤケヘビギンポの特徴です。ヘビギンポは、これが2つに分岐しています。