毎日いろいろな魚を美味しくいただいていますが、それでも「初めて手にする」魚も多いのです。今回のカワリハナダイSymphysanodon katayamai Anderson, 1970も初めて手にした魚です。
「~」ハナダイといえば、スズキ目ハタ科魚類のいちグループのことを指す場合が多いのですが、このカワリハナダイはカワリハナダイ科という、独自の科に含まれています。カワリハナダイ科の魚は世界中で1属12種が知られ、日本では近年報告されたツキヒハナダイを含め、3種が知られています。
ハタ科の魚との大きな違いは、外見からはわかりにくいです。では口を開けてみましょう。下顎の歯がある面に段差があります。これがハタ科の魚と見分ける大きなポイントとなっています。
体側の模様は獲れてすぐは鮮明でしたが、我が家に到着後はわかりにくくなってしまっていました。この写真はフラッシュをたいて撮影しています。もともとは鰓蓋付近からはじまり、体側に走る、太くて目立つ黄色縦帯があり、頭部や、尾鰭にも黄色域があります。その尾鰭上下両葉は長く伸びており、腹鰭の第1軟条も少し伸びています。
カワリハナダイ科の魚は分類学・系統的位置がなかなか定まらないグループです。骨学的にはフエダイの仲間と近縁とされ、実際にハマダイ Etelis coruscans Valenciennes, 1862(写真) との類似性が強調されていたことがあったようです。一方、近年ではホタルジャコ科の魚と近縁なのではないか、ということも示唆されているようで、この議論はまだ続くようです。
●食する
カワリハナダイは美味しいのか?見た目はピンクで黄色い線があってなかなかおいしそう、ということで食べてみました。今回は刺身。体長で20cmもない小魚だから量は少なめ。もっとも、近縁ではないかとも言われているホタルジャコ科の魚も多くの種が20cm前後かそれ以下ですが。ということで、食べてみます。一言。
「甘い!」
です。意外なことに甘味がありました。一緒に食べた人は、「魚というよりエビを食べてるよう」というのが感想でした。そして食感。かなりもちっ、としている。この食感はたしかに以前食したワキヤハタのそれとなんとなく似ているように感じました。