2月ももう3日になりました。もう2019年も1/12が終わってしまいました。ミナミキントキ、アオスミヤキ、カスリハタ、ホラアナゴ、オオスジハタなど今年になってから入手を逃してしまった魚も多いです。
さて。今回ご紹介するのはこの間魚屋さんで購入した魚。ニベ科・ニベ属のニベである。ニベは比較的食用としてのなじみも深いし市場にもそこそこ出る魚であるが、なぜかこれまでこのぶろぐで紹介してきたことはなかった。魚紹介系ぶろぐのあるある、というやつであろう。
ニベ科の魚は日本には10属17種ほどが知られているが、多くの種が日本沿岸から離れた東シナ海の産であり、わが国の沿岸の広い範囲でふつうにみられるのはこのニベのほかはシログチくらいであり、ほかは西日本に多いクログチとオオニベ、瀬戸内海や有明海に多いコイチ、散発的に採集されるタイワンシログチくらいかと思われる。ニベ属の魚は日本に3種がしられ、ニベとコイチのほかにはミナミニベという種がいるが、これは日本にはほとんど見られず、東シナ海、台湾、中国、南シナ海に生息している。日本産ニベ属の共通の特徴としては体側の斜帯があることであるが(海外産ではこの帯がないのもいる)、コイチでは体側前半部の斜帯が斑点状になることが特徴(腹部が黄色っぽいのも特徴的とされる)、ミナミニベは斜帯は胸鰭上部にのみあるのが特徴とされる。ニベ科はインドー西太平洋(東アジア)に10種ほどがいるようだが、分類学的な再検討が必要だろう。
ニベの仲間は身は白身で揚げ物や焼き物などにして美味しい。今回はムニエルにして食べてみたが非常に美味しい。この個体は福島県産であるが、もう少し北の仙台湾まで見られるらしい。日本海岸では新潟県~九州、太平洋でも九州南岸まで見られるというが、近年は少なくなっているように思える。国外の分布は朝鮮半島、おそらく台湾、中国であるが大陸部での分布はとくにほかのニベ属魚類と混同されている可能性がある。