道の駅では地場の魚を売っていることがある。ときには珍しいものが売っていることもあって面白い。このイスズミもそんな魚である。
イスズミはスズキ目イスズミ科・イスズミ属の科や属の標準和名にもなっている魚で普通種のように思われがちであるが、実は大きいのに出会ったのは今回が初めてである。従来この科の魚はノトイスズミやテンジクイサキを見ているが、イスズミは見たことがなかった。日本産イスズミ属は4種が知られているがあとミナミイスズミは「100%ミナミイスズミ」といえるようなものにまだめぐり逢えていない。最近ではコシナガイスズミというものなどもイスズミ属に入れられているようだが、これはおそらく誤りであろう。
イスズミは磯釣りで、とくにメジナなどを狙っていると釣れることがあるが、あまり好まれない。メジナよりも癖があるからだという。しかし、イスズミをさばいていて驚いたのは身の色である。なんかメジナなどよりも、青いというか、灰色というか、なんというかわからないが独特な色をしているのだ。残念ながらこの色ではあまり好かれないだろう。一方味については臭みはなく、美味しく食べることができた。
イスズミの仲間は雑食性だが、付着藻類や海藻などを好んで食べる。もしかしたらその影響もあるのかもしれない。それでもこのイスズミは各地にいろいろな料理法が知られており、さまざまな地方で食されている。意外と多くの人に食され幸せな魚なのかもしれない。