ハタンポの仲間は日本には少なくとも8種が知られています。うち7種はハタンポ属に含まれます。
そのハタンポ属の魚で本州から九州において普通に見られるものは2種。ミナミハタンポと、今回ご紹介するツマグロハタンポです。
ツマグロハタンポはミナミハタンポに比べ鱗がこまかく側線有孔鱗数が70~82と、ミナミハタンポ(同45~54)とくらべ多いのが特徴です。またツマグロハタンポはミナミハタンポに比べてやや寸詰まりのような気がします。そしてミナミハタンポに比べ眼も大きい感じ。
ツマグロハタンポの側線
ツマグロハタンポの頭部
ミナミハタンポ
ミエハタンポ
ツマグロハタンポと同じく鱗の数が多くこまかいものにミエハタンポというのがいます。ミエハタンポは名前に「ミエ」とあるのですが、相模湾から鹿児島にまで見られます。しかしながら数はツマグロハタンポとミナミハタンポの2種に比べ少なく、なかなかおめにかかれません。大きいものは全長20cmほどになります。
この仲間は釣りでは夜釣り、ほかの漁法では定置網で数多く漁獲されます。夜釣りでも市場でもハタなどのようにはありがたがられないのですが、高知県の土佐清水の魚市場では女性が水揚げ場のミナミハタンポを集めていました。つぶして(練り物にして)販売するのだそうです。実際にミナミハタンポは焼き物、刺身などでかなり美味な魚です。ではツマグロハタンポはどうでしょうか?残念ながらフォルマリンで展鰭してしまっていますので食べることはできません。