魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

リーフロイズ

2016年12月22日 18時48分39秒 | 魚介類飼育(海水)

いまさらではありますが、11月に行われたイベント「アクアリウムバス」で購入してきたもののご紹介。Polyplab社製のサンゴフード「リーフロイズ」。定価で2592円というお値段ですが今回は安く購入できました。

餌は赤い粉末状で、乾燥エビの香りがぷんぷんします。輸入元(エムエムシー企画レッドシー事業部)のサイトによれば海洋性プランクトン使用したもので、乾燥させたプランクトンフードというべきでしょうか。与えてみましたが、LPSやソフトコーラルには高い効果が望めそうです。魚もよく食べていましたが、粉末状のためか一気にたくさん食うことはできなさそうです。

イベントではフラグサンゴが多数販売されていました。九州の有名店やそのほかにも個人で販売しているブースなど。そのブースではマメスナギンチャクの類を何個か購入しました。今後は環境保護の観点から天然物よりもこのような養殖されフラグに接着されたサンゴの販売が主になるかもしれません。安価なものが多く、小さいですが成長する楽しみが付いてきます。

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ウロコメガレイ

2016年12月21日 15時14分18秒 | 魚紹介

なんか久々な感じの北海道シリーズ。
カレイ目・カレイ科・ウロコメガレイ属のウロコメガレイ。

ウロコメガレイはツノガレイ属(研究者によってはいくつかの属に分けているが)の魚に似ているが、その名の通り眼上に小さな鱗があるのが異なっている。このほかミギガレイという種も眼の上に鱗をもっているが、ミギガレイは体がややほっそりしていて、鱗の数もウロコメガレイと比較して少ない。またウロコメガレイと比べると口が小さいのも特徴で、ツノガレイの仲間によく似ている。ミギガレイは以前写真を撮っているのだが、あまりよい写真ではないので今回はパス。久慈のほうでは大きめのものが販売されていて、今度購入してみたいと思う。

ウロコメガレイ側線


ウロコメガレイの側線は胸鰭の上方でカーブしている。これもミギガレイとは異なる特徴のひとつ。ミギガレイの側線は直線に近い感じ。

ウロコメガレイ無眼側

無眼側は特徴が少ない。

分布域は兵庫県香住以北の日本海岸と岩手県以北の太平洋岸で、北海道では各地の沿岸に分布している。海外では朝鮮半島の日本海沿岸、ピーター大帝湾、オホーツク海。やや深場のカレイであり底曳網や刺し網で漁獲される。

ウロコメガレイ属は世界でも1属1種。魚類に関する世界最大のデータベースであるフィリピンのFishbaseでのコモンネームはScale-eye plaiceとなっており、やはり眼の上に鱗があることにちなむのであろう。

今回は唐揚げにした。同じ日にツノガレイ属の別種(近日中に公開したい)も食べたが、ウロコメガレイのほうが脂が多く美味であった。またやわらかくて食べやすい。もちろん他種のほうもそれなりに美味であった。残念ながら料理の写真を撮るのは忘れてしまった。
今回も坂口太一さんからのいただきものでした。ありがとうございました。

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クサカリツボダイ

2016年12月19日 19時17分20秒 | 魚紹介

今日はいつもの北海道シリーズから離れて、鹿児島の深海性魚類をご紹介。

スズキ目カワビシャ科のクサカリツボダイ。

あまり聞きなれない名前の魚ではあるが、意外とこの魚はよく食べられている。スーパーなどでたまに売られている「ツボダイ」の干物は本種の干物であることが多い。故阿部宗明博士の「新顔の魚」でも1970年に登場、それによれば1969年にソ連からかなり大量に日本の商社へ売り込みがあってから注目され始めた」ものだという。カワビシャ科は英語名Armorheads、甲冑の頭。頭部が露出した骨に覆われていて硬いことからこの英名がついた。写真をみれば納得。一方種の和名についてはテングダイやヒョットコダイなど、ユニークなものがいる。カワビシャ科は世界で8属、計13種が知られているが、属については流動的で、たとえばクサカリツボダイ属は属として認められたり、あるいはツボダイ属に含められたりする。

頭部だけでなく、胸鰭の周辺にもこのように巨大な骨が見られる。

臀鰭は4棘。スズキ亜目の魚の臀鰭は2~3棘のものが多い気がするが、ツボダイやクサカリツボダイでは臀鰭棘数は4である。カワビシャやテングダイ、ヒョットコダイ、ショートボアフィッシュ、あるいはロングスナウトボアフィッシュといった種は3と、種によってばらつきがある。

クサカリツボダイは深海性で水深200~400mほどの場所で釣りや底曳網などで漁獲される。分布域は北半球に限られ、房総沖、鹿児島沖、八丈島近海、天皇海山、ハワイ諸島、北米西岸に分布している。近縁種のPentaceros richardsoniは南半球の産で「ニュージーランド海域の水族」では南半球産のこの種に「クサカリツボダイ」の和名を使用しているなど、若干の混乱がみられるので注意。

「新顔の魚」でもクサカリツボダイの学名はP. richardsoniとなっていうがその後1983年にこの科の分類学的な再検討がなされ、P.wheeleriが新種記載された。これが日本に分布するものであり、クサカリツボダイの和名が当てられるのはP.wheeleriとなっている。もう1種学名がついたのがいるが、それはクサカリツボダイと同種とされている。

クサカリツボダイは八丈島などにもいて、深場の釣りで釣れることもある。しかしながら鮮魚としてお目に罹れることは少ない。今回はせっかくの鮮魚だったので刺身にしてみたが、これが脂の乗りも程よく美味なものであった。

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ウケクチコオリカジカ

2016年12月17日 10時48分00秒 | 魚紹介

昨日はいろいろあってサボりました。すみません。今日も北海道の魚を。

スズキ目・カジカ科・コオリカジカ属のウケクチコオリカジカ。

コオリカジカの仲間は日本に11種、日本からの記録は文献に基づく記録のみとされるヒメコオリカジカを含めて12種が知られているが、深海性で北方性のため、あまり写真を見る機会がない種。カジカの仲間に限らず、ほかのカジカ亜目、あるいはタウエガジ科やゲンゲ科など、そんな種が多いように思う。この魚を送っていただいた坂口太一さんは、この個体をクロコオリカジカではないか、としていた。

しかし、前鰓蓋の棘の先端が分岐していないことや、下顎が少し長めであることからウケクチコオリカジカではないかと思われる。写真はこの個体の前鰓蓋骨棘最上骨棘。

検索図鑑で示されているもう一つの特徴「胸鰭後端よりも後方の体側に櫛鱗が散らばる」ということについては、画像から見る限り、さらに触った限りではそのような櫛鱗はなかったものの列状の櫛鱗はあるので、これもクロコオリカジカとは違った特徴である。また検索図鑑では後頭部に棘がある様子が書かれていたが、「日本の海水魚」の本の中で記されているウケクチコオリカジカの写真ではそのような突起はないように見えた。この形質と櫛鱗の分布には変異があるのか、あるいは雌雄の違いなのか、あるいは別のまだ日本から報告されていない種もしくは未記載種なのか。はっきりしない。もっとたくさんの個体を見てみたいところである。

ウケクチコオリカジカも、コオリカジカ属の魚である。代表的な種であるコオリカジカについては以前にもご紹介している。

コオリカジカ

コオリカジカの鱗列

コオリカジカとウケクチコオリカジカの区別は簡単である。コオリカジカは背側に単尖頭棘をもつ鱗列がある。これはかなり強い棘である。その一方ウケクチコオリカジカは強い棘になっていない。そのため、調理の時にわずらわしい、なんてことはない。

ウケクチコオリカジカの腹面

フサコオリカジカも似ているが、フサコオリカジカは腹部に櫛鱗が散らばっているということだが、この個体は散らばっていないように見える。また、フサコオリカジカは眼と鰓蓋骨の間に棘がないのが異なる。

調理はこのように塩焼き。写真の右がウケクチコオリカジカ。左はイヌゴチ。以前ご紹介したイヌゴチのほうが目立っているあ、希少性という意味ではこちらのウケクチコオリカジカのほうが上回る。

ウケクチコオリカジカは現在のところ、北海道のオホーツク海からのみ報告されている。魚類検索に掲載されている生息場所は「水深905m付近の大陸斜面」ということである。しかし、実際にはもっと浅い水深で漁獲されることもあるのではないかと思われる。クロコオリカジカはふつう250~900m、フサコオリカジカは175~900mだということで、これらの種類と混ざっていても気が付かないだけかもしれない。カジカ科はまだまだ研究途上。これから様々な種が発見されたり、属が移されたり、あるいは種としては消滅することもあるだろう。

坂口太一さん、ありがとうございました。

 

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ヨコスジカジカ

2016年12月15日 22時55分31秒 | 魚紹介

北海道シリーズ。

カジカの仲間は初見の種が多い。このヨコスジカジカも、私にとっては初めて見るカジカである。ヨコスジカジカは比較的おおきくなるカジカの仲間で北海道では食用になる種。検索図鑑によれば大きい個体では体長36cmにもなるということであったが、この個体はやや小さめで、しかし私にとってははじめてのこのカジカ。喜びは大きい。

今回の個体は雄の個体であった。ヨコスジカジカの雌雄は腹鰭に違いがある。雄は軟条が長くのびていて、黒色斑が多数ある。雌は普通の魚のような腹鰭の形をしている。写真の個体の腹鰭は大きな胸鰭にかくれてしまっている。

前鰓蓋に大きな棘がある。カジカの仲間は前鰓蓋に格好いい棘があるものが多い。

本種によく似たものにクジャクカジカがいる。クジャクカジカは体長30cmになり、ヨコスジカジカとよく似ているが背鰭の第2鰭膜が最もよく切れ込む。今回のヨコスジカジカも第2背鰭が若干切れ込んでいるように見えるが、クジャクカジカの鰭膜の切れ込み方はこれとは異なる。興味がある方はぜひ調べてみてほしい。学名Hemilepidotus papilioと打ち込んでぐぐる、あういはFishbaseに打ち込めばヒットするだろう。

もうひとつの見分け方は鱗である。この仲間は腹側と背中側に小さな鱗の列があるのだが、ヨコスジカジカではほぼ同じ大きさなのに対し、クジャクカジカの体側腹側の鱗の列は小さく細かいのが特徴である。またヨコスジカジカとナメヨコスジカジカでは鱗の様子も異なる。ナメヨコスジカジカは臀鰭基底付近に明瞭な鱗列がないのに対し、ヨコスジカジカでは明瞭な鱗列が臀鰭基底にあり、これは臀鰭基底後端にまで達する。

ヨコスジカジカ属は北太平洋から6種が知られており、日本には3種が知られる。東北地方太平洋岸に生息する種もいるが、北海道の沿岸に多い。クジャクカジカは北海道全沿岸~アラスカ湾まで、ナメヨコスジカジカは北海道太平洋岸~オホーツク海岸を経てアラスカ湾まで、そしてヨコスジカジカは茨城県以北太平洋岸、北海道全沿岸、ロシア沿海州、朝鮮半島、コマンドルスキー諸島にまで分布しており、この3種の中では最も東よりな分布の種だろう。

食べ方は色々ある。今回は鍋+うどんで食してみた。肝や生殖腺まで食べることができ、かなり美味しい。並ぶ鱗もあまり気にならない感じであった。カジカの仲間の大型種は鍋や汁物で美味しいものが多い。

今回の個体も坂口太一さんに送っていただいたもの。ありがとうございました。

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