魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

カスミフグ

2024年12月23日 16時47分45秒 | 魚紹介

もう12月も終わり。来週で今年もお終いです。今日は昨年我が家に来ていたが紹介できなかった魚。フグ目・フグ科・モヨウフグ属のカスミフグ。

カスミフグの尾鰭

カスミフグはモヨウフグの仲間で、全長30cmをこえるというが、ふつうはもっと小さいだろう。全身に特に目立つ縞模様や白い斑点はないので、ほかのモヨウフグ属の多くの種とはそれにより識別できる。色自体はグレーで地味なのだが、そこがいい。この写真からは全くわからないのだが、口元や眼は黄色くてそれなりにきれいである。尾鰭の色彩は地色が黄色っぽいが縁辺が黒いという色彩になる。これについては上記の写真でも確認できるだろう。また鰓孔の周りが妙に黒っぽいものも特徴である。

カスミフグの体表の小棘

カスミフグの体表には小棘がたくさん見られる。東南アジアなどの釣りウェブログではこのカスミフグを釣りあげた様子の写真が掲載されており、それはハリセンボンのごとく棘を立てていることが多い。なんか手触りがよさそうである。モヨウフグ属の種ではそのほとんどの種でこのような小さな棘を見ることができるようだ(ケショウフグなど見たこともない種もいるが、それはどうだっただろうか)。以前入手したモヨウフグも、小棘の1本1本が大きく、まるでハリセンボン科のように見えた。ただこの棘の有無は属レベルの階級の定義にならないらしく、トラフグ属やサバフグ属では種によって棘があったり、なかったりである。たとえばシロサバフグやクロサバフグ、ドクサバフグでは背面の小棘が明瞭だが、カナフグでは見られなかった。これについては今年の3月に記事にしたので見てほしい。

スジモヨウフグ

さて、モヨウフグ属といえば避けては通れぬ(?)交雑のお話。椎名さんの手元に戻ってきたHPエリートデスクを使ってGoogle先生を召喚し、カスミフグで画像検索を行うと、一部どうしても怪しいものが見られる。見た目はカスミフグなのだが、背中に薄い縦線が入っているというものである。これは何を意味しているのかだが、スジモヨウフグと交雑したものなのか、それともカスミフグにもこのような模様が現れることがあるのかということで定かではない。より詳しく調べてみたいところではある。ちなみにスジモヨウフグの分布域は西-中央太平洋 (ハワイ諸島を含む)に限られ、インド洋は極東部から採集されているのみ、カスミフグはインドー西太平洋(紅海を含む)に見られるもので若干の違いがある。国内においてはカスミフグ・スジモヨウフグともに「日本産魚類検索第三版」では琉球列島しか記されてはいないが、スジモヨウフグは和歌山県から採集されているし、カスミフグも本州~九州から(証拠標本の有無はともかく)得られている。ちなみにこの個体は宮崎県で採集された成魚の個体である。基本的には沿岸の浅場に生息するが、カスミフグなどは汽水域からもよく採集されるようである。筆者も汽水域でモヨウフグ属の幼魚(ワモンフグ、サザナミフグ、スジモヨウフグ)をよく採集したものである。またいつか採集して飼育したいものである。

ちなみに本種は有毒とされるが毒性の詳細については不明。釣れても食用とはせず、飼育してかわいがるか、逃がしてあげたい。この個体は宮崎県のWadaさんから標本用に譲り受けた魚である。いつもありがとうございます。

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ヨロイイタチウオの唐揚げ

2024年12月21日 14時51分48秒 | 魚介類を食べる

今日はおしごとなので簡単に。アシロ科のヨロイイタチウオの唐揚げ。ヨロイイタチウオは小さいのはあまり利用されておらず投棄されることもあるが、肉と骨の離れがよいため、唐揚げにして美味しく食べられる。鹿児島県産。田中 積さんいつもありがとうございます。

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イトヒキアジ

2024年12月18日 22時30分40秒 | 魚紹介

このぶろぐにひさしぶりに登場のアジ科・イトヒキアジ属のイトヒキアジ。背鰭の写真は2022年にも登場していたが、全身の写真はじつに2013年以来の登場である。また写真もすべて幼魚または若魚の個体であり、大型の成魚は初めての登場である。

イトヒキアジはインドー太平洋域はもちろん、カリフォルニアからペルーまでの東太平洋、大西洋沿岸にも分布している。暖海に生息する種ではあるが、日本近海では北海道をふくむほぼ全沿岸から記録があるらしく、また日本海側ではピーター大帝湾でも獲れているらしい。

2013年に撮影したイトヒキアジの幼魚

イトヒキアジの幼魚は背鰭・臀鰭の鰭条が長く伸びることで有名である。クラゲに擬態しているともいわれ、筆者も2013年に静岡県の港で2匹のイトヒキアジの幼魚が海表面を泳ぐ様子を見ている。長い鰭条は青く光っているように見えて美しいものであった。定置網などで漁獲されたものは、黒っぽく見えた。もう少し成長すると鰭条はやや短くなり、最後は1本のみが長くなった後、やがて短くなってしまうようだ。全長は80cmほど、最大で1mほどになることもあるらしい。

ウマヅラアジ属のウマヅラアジ

従来イトヒキアジ属は本種のほか、ウマヅラアジと、西アフリカに生息するアレクサンドリアポンパノの計3種が知られるとされた。しかしながら近年のアジ科の系統解析により、ウマヅラアジとアレクサンドリアポンパノは別属Scyrisとされた。この属はキュヴィエがつくったものだがやがて使われなくなり、最近になって復活した。ウマヅラアジは東アフリカから仏領ポリネシア、インドー中央太平洋、アレクサンドリアポンパノはその名が示すようにエジプトの地中海沿岸で漁獲され、ほかに西アフリカにも分布する。しかし西大西洋や東太平洋など、ウマヅラアジ属が分布しない海域もあり、そのような地域ではヒラマナアジ属Seleneに置き換わるようだ。この属は大西洋と東太平洋の産であり、日本人にはあまりなじみがないが、観賞魚の業界で「ルックダウン」と呼ばれるものにはこの属のものが何種か含まれているようだ。

ウマヅラアジの上顎を前から見たところ

イトヒキアジの上顎を前から見たところ

イトヒキアジとウマヅラアジの違いとしては頭部の形が違う。イトヒキアジでは眼前縁で突出するが、ウマヅラアジではわずかに凹む。しかし上唇の形状でも見分けることが可能である。ウマヅラアジよりも、イトヒキアジの上唇は丸みをおびていてあまり高く突出しない。一方ウマヅラアジでは高く突出した形状になる。新大陸周辺の沿岸にすむものなどではもっと高く突出するものもいるらしい。

イトヒキアジの刺身

イトヒキアジもほかのアジ科の魚と同様に食用魚とされている。刺身は脂が非常によくのっている。脂がよくのり美味しい!と書きたかったが、たしかに美味ではあるのだが、脂ののりが強すぎて一度に多くは食べることができなかった。身は白くて美しいのに・・・。難しいところ。

イトヒキアジのフライ

いっぽうこちらはフライ。身が多くて脂も気にならない。ふわふわで美味しく、家族には大好評であった。このほか焼き物や煮物などで食しても美味しいのではないかと思われる。今回のイトヒキアジは長崎県「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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Twitterに釣果をアップしている人が見るべきFBページ

2024年12月14日 05時34分44秒 | 魚類とインターネット

寒い!真岡はいつも氷点下です。

さて、Twitter(Xとも)に釣果の写真を掲載している人には見てほしいFacebookページがある。それが、「魚釣り」というページである。実はこのページには、Twitterなどからの無断転載による画像が溢れており、その中にはフォロワーさん、もしくは相互フォローさんの画像も多数あるように見える。そしてメッセージを送るなどしても、改善される気配はない。

「魚釣り」Facebookページのスクリーンショット

トップ画像は写真のようなものである。このスクリーンショット写真は著作権的に問題あるかもしれないが、公益性のためそのままとする。夕焼けの中で釣りをしている人は素材サイトのものであり、うっすら見えるURLを入力してみると、中国語の素材サイトに辿りついた。つまりこの「魚釣り」のページは中国人が運営しているものなのである。ページ内の記事の日本語が全く違和感がないのは、画像だけでなく文章もぱくってきているもので違和感がないため、最初みても中国人が作成しているページとは気が付かないだろう。

「魚釣り」Facebookページのスクリーンショット。基本データ→ページの透明性

しかしFacebookのページは透明性の確保が行われている。「基本データ」をクリックし、「ページの透明性」を閲覧するとじゃーん。香港(中国)人が管理者である旨記されている。え、香港?中国じゃないの?と思う方もいるだろうが、実際にこの4000年の歴史を誇る大国はその長い歴史を築いてきたというプライドがあり、外国のサイトの閲覧を制限する「GFW」というシステムを導入しているのだ。したがって香港を経由してFacebookページを作成するのである。

実は香港人が運営している怪しげなページはこのほかにも多数ある。仕事の休憩時間に調べてみると、数百単位で出てきたのだ。そしてこのような怪しげなページにはFacebook外へのリンクが貼られている。ようは自分たちのサイトを宣伝するためのページなのである。日本のトレンドももちろんチェックしており、大谷翔平の妻が妊娠何か月であるとか、田中将大が中日ドラゴンズへの移籍が決まったとか、そんなしょうもないフェイクニュースを、工業廃水を垂れ流し放置しているような企業のごとく、垂れ流し続け指摘を無視している。

しかしなぜこのような権利的に問題があるページが放置されているのか。フェイクニュースを流すページがそのままフェイクニュースを垂れ流し続けられるのか。前々から、実業家・慈善家として知られる前澤友作氏らの肖像を用いたフェイク広告の存在はよく知られている。これらも中国人がやっていると考えられるが、Facebookを運営しているMeta社はこのような詐欺広告について、ろくな対応をしなかった。同社が4月なかばに発表した声明(https://about.fb.com/ja/news/2024/07/updates_on_tackling_scams/)は、かえってMeta社のサービス、つまりFacebookおよびInstagramを使うユーザーを苛立たせた(東洋経済オンラインhttps://toyokeizai.net/articles/-/748773)。それ以降は前澤氏、森永卓郎氏や、ホリエモン氏はFacebookでその姿を見ることができなくなったが、最近も小島よしお氏、タモリ氏、高市早苗氏、そして石破茂首相らを騙る偽広告が、NHKや読売新聞を騙った偽サイトの中に登場している。その多くが仮想通貨の投資をあおる広告だ。

また、Meta社のCEO、マーク・ザッカーバーグの妻は中国系の華僑であることもよく知られている。私は国籍でそのひとのなりを判断や評価をしたくはないが、あまりにもMetaによる中華系の広告や不正確な情報を流すページの多さから、その出自ゆえに中国系やベトナム系の詐欺広告への対応が甘いのではないかとも思ってしまうのである。

ちなみに先述の素材サイトについては明らかに某ねずみの映画会社が著作権を持っているようなサメやナンヨウハギ、カクレクマノミなどの画像も出てきたのだが・・・。さすがは中国の素材会社である。

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ニジョウサバ

2024年12月08日 18時25分36秒 | 魚紹介

先日入手したサバ科の魚。サバ科ニジョウサバ属のニジョウサバである。種標準和名に「サバ」とついている魚の一種であり、日本産サバ科魚類ではマサバとゴマサバを除く唯一の種であるが、その外見はマサバやゴマサバといった種よりもサワラなどに近いように見える。

ニジョウサバの側線(矢印)

その特徴のひとつは体側の側線。体側前方で分岐し、体側後方でふたたび繋がるというもの。側線が二つに分岐するというのはクロタチカマス科でお馴染みではあるが、サバ科では珍しいかもしれない。体側の模様も、いわゆる「サバの模様」ではなく、背中は暗色である。ただ体側中央に大きな円形斑が入ったりするので、ほかの種と見分けられるかもしれない。ただしこの円形斑は薄く、個体により入らなかったりするため、同定の決め手にはならないものと思われる。

ニジョウサバの歯

食性は動物食性。きっと小魚を好んで食べるに違いないだろう。このような小さいが鋭い歯は小魚をとらえるのに都合がよいに違いない。ちなみに、このぶろぐでニジョウサバを紹介するのは初めてであるが、触ったのははじめてではない。しかし、最初に見たときはその鋭い歯から、サワラの幼魚かと思ったものである。そのときの個体はこの個体の半分くらいの大きさだった。そういえば私はサワラの幼魚はいまだに見たことがない。定置網でもあれほど大きいのは入るのに、幼魚は全く見たことなし。

サバ科の魚は「あしが早い」(傷みやすい)ものが多く、このニジョウサバも例外ではないよう。しかし血もしっかりと抜かれており、刺身にして食べて美味しかった。身の色はピンクで美しく、サワラみたいな感じであった。左は普通に刺身。一方右は鱗を落とした後,皮は引かずに、皮のついた部分をかるく炙ったもの。カツオのたたき程ではないが、我が家でサバ科の中大型種を食うのにこのやり方が多いような気がする。以前食したヨコシマサワラもそうだった。

身は薄い赤色(ピンク色)で美しい。しかも美味しい。普通の刺身よりもこちらの方が美味しかった。鮮度が落ちやすいというデメリットはあるが、新鮮なものが手に入るような環境ならぜひとも食べてみてほしい魚である。関東でこの魚を刺身で食することができたのは鹿児島魚市場 田中水産 田中積さんのおかげ。いつもありがとうございます。

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