敗戦時(1945年 [昭和20年] 8月15日)、われらが大日本帝国政府は進駐してくる米占領軍兵士が巷の婦女子を強姦、凌辱することを予想し、対策として管理売春施設を準備することとした。
具体的には、玉音放送から3日後の8月18日に内務省警保局長は秘密の無電で、占領軍向けの売春施設を設置するように全国の警察署に命令を発した。
実施のため、RAA(特殊慰安施設協会)が8月26日に発足し、業者代表が皇居前で「天皇陛下万歳」を叫んだ [1]
なお、この命令は『内務省史』にも記載されていない。が、このときの命令書(に関連する)とされるものが残っている[2]。平成になって政府にこの文書の存在を確認する質問主意書が出された[3]。
▼ そういう状況での大阪での状況を示す文書(特高警察の報文)がある;
昭和20年9月17日 国粋同盟 総裁 笹川良一の実弟笹川良平を社長に (中略) 連合軍慰安所 アメリカン倶楽部 を 大阪市南区に(開設)、したとの情報を記した大阪府特高一課の書類。
この文書は資料として、『敗戦時全国治安情報』(日本図書センター)より。この画像は広告より引用。
[1] 磯田光一、『戦後史の空間』
[2]
外国軍駐屯地における慰安施設に関する内務省警保局長通牒
外国軍駐屯地における慰安施設に於ては別記要領に依り之が慰安施設等設備の要あるも本件取扱に付ては極めて慎重を要するに付特に左記事項留意の上遺憾なきを期せられ度。
記
1 外国軍の駐屯地区及時季は目下全く予想し得ざるところなれば必ず貴県に駐
屯するが如き感を懐き一般に動揺を来さしむ如きことなかるべきこと。
2 駐屯せる場合は急速に開設を要するものなるに付内部的には予め手筈を定め
置くこととし外部には絶対に之を漏洩せざること
3 本件実施に当りて日本人の保護を趣旨とするものなることを理解せしめ地方民
をして誤解を生ぜしめざること。
(別記)
外国駐屯軍慰安施設等整備要領
1 外国駐屯軍に対する営業行為は一定の区域を限定して従来の取締標準にか
かわらず之を許可するものとす。
2 前項の区域は警察署長に於て之を設定するものとし日本人の施設利用は之を
禁ずるものとす。
3 警察署長は左の営業に付ては積極的に指導を行い設備の急速充実を図るも
のとする。
性的慰安施設
飲食施設
娯楽場
4 営業に必要なる婦女は芸妓、公私娼妓、女給、酌婦、常習密売淫犯者等を優
先的に之を充足するものとす
(1945年8月18日)
[3]
「外国軍駐屯地における慰安施設設置に関する内務省警保局長通牒」の保管等に関する質問
蛇足;
【笹川良一】日米交流に尽力