いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

新しい街でもぶどう記録;第456週

2023年08月12日 18時00分00秒 | 草花野菜

▲ 今週のみけちゃん
▼ 新しい街でもぶどう記録;第456週

■ 今週の武相境斜面

■ 今週の草木花実

■ 今週の半額

Dazzle Apples  ニュージーランド らしい。

▼ 



神戸屋エクシード レモンデニッシュ   アプリコット&マンゴー

■ 今週の鶴巻発条

■ 今週の三陸産



魚屋路 【三陸産】さんまの握り

■ 今週のひさしぶり

7月はお出かけしなかった。ひとつきぶりに、<荊の簪を挿した御方>におごってもらった。上のお寿司もそうだが。

■ 今週の「シンス」

バブル期から続いているのだ。 Cafe ハトポッポ

■ 今週のマルクス延命派

愚記事に「カール・マルクス、『イギリスのインド支配』和訳全文」がある。定期的にアクセスがある。

この「イギリスのインド支配」は”西欧のもっとも露骨で恥知らずな植民地主義者の文章” [1] 的なものである。つまりは、スキャンダラスな文章ということ。 [1] 西川長夫、『国境の越え方』, 1992年

西欧のもっとも露骨で恥知らずな植民地主義者は、ヨーロッパ中心主義者(eurocentrism)ともいう。

したがって、マルクス真理教の信徒は何か反応しなければいけない。そのマルクス真理教の信徒による、反論があった。

いいえ、カール・マルクスはヨーロッパ中心主義者ではありませんでした

ケビン B. アンダーソンは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の社会学の著名な教授です。彼は、『レーニン、ヘーゲル、西洋マルクス主義』 (1995 年) と『限界のマルクス』 (2010 年)の著者です。

■ 今週返した本

『村上春樹をめぐる冒険』(笠井潔、竹田青嗣、加藤典洋)と『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』。

▼ 笠井潔、竹田青嗣、加藤典洋@ 1986年(=中曽根・自民党総選挙圧勝、300議席の年)

笠井潔、竹田青嗣、加藤典洋の1960年代末のいわゆる大学紛争・街頭騒動の活動に「挫折」し、約10年の1970年代の「リハビリ」期間を経て、世に出て活動し始めたのが1980年代初頭。村上春樹がデビューした頃。その後、1986年は総選挙での中曽根自民党の圧勝があり、1980年代初頭は保守化の時代であった。冷戦終焉は未だであったし、まさかソ連が消滅するとは、小室直樹以外、考えるものはいなかったが。その頃、おいらは、「1960年代末のいわゆる大学紛争・街頭騒動」について関心があったが、詳細を説明したよい本はなかった。まだ、外山恒一の「教養強化合宿」もなかった時代だ(ないよ!ただし、外山は活動を開始していた [wiki])。あの時代、何かあったらしいとわかったが、詳細はわからないかった。おいらが使っていた「教科書」は、『新左翼二十年史』(Amazon)。1981年刊行。この本には「1968年革命」の語はない。「70年安保闘争」という表現だ。さらにこの本は街頭での新左翼の活動が主で、大学紛争の詳細は書かれていない。別の本では、連合赤軍事件についての本や中核派・革マルハの内ゲバの本を読んでいた。いずれも、大学紛争とは少しずれている。全共闘運動の情景・事情は、小説、三田、『僕って何』だけだった。そして、笠井潔、『テロルの現象学』を読んだ。これは一生懸命読んだ。

そして、その頃、村上春樹、『風の歌を聴け』を読んだ。よく読めば、あの時代とその後の話だ。そして、笠井潔、竹田青嗣、加藤典洋も『風の歌を聴け』を読んで、「感銘」を受けていたのだ。

▼ 『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』は、前著のうちの加藤と竹田に加え、小浜逸郎と橋爪大三郎が参加する討論会の記録。

全共闘運動、および周辺者たち。竹田青嗣以外全共闘運動への直接の参加を認めている。橋爪大三郎は、あの新宿騒乱事件[wiki]に参じたと云っていると、おいらは知った(根拠)。竹田青嗣は全共闘運動へのかかわりについて、周辺にいたと柄谷行人との対談でいっている。前著に参加した笠井潔がこの企画には、病気を理由に、参加していない。笠井潔は、全共闘というより、セクト活動家。そして、橋爪以外、村上春樹に軽重の程度はあれ、共感している。

▼ 橋爪大三郎と村上春樹

今では、村上の春樹の書評を書いている[1]橋爪はこの時点、1992年に村上春樹に無縁だった。

[1] 毎日新聞 2023/4/22 橋爪大三郎・評 『街とその不確かな壁』=村上春樹・著

初めて村上を読んだ経緯と感想を橋爪は、云っている;

で、主催者側に、村上春樹なんて人は読んだことがないんで何を読めばいいのかと聞いたところ、主要四つ作品があるからそれを読んできてきてくださいということで、一応それを読もうと思って頑張って、『ダンス・ダンス・ダンス』は読みかけなんですが、あとは読みました。

『ハートボイルド・ワンダーランド』というのを読んだ。で、これはまあまなかなかのものであるというふうに初めはよかった。特に文体がよかった。次に、『羊をめぐる冒険』を読んだ。なんてひどいと思った。次に『ノルウエイの森』を読んで、ますますひどいというふうに思った。

村上春樹の作品世界の本質というのは、村上春樹の本質と言ってもいいけれども、「臆面のないナルシスト」だと。 (『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』)

▼ 全共闘から名誉教授への途中、1992年

『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』に登場する竹田青嗣、加藤典洋、橋爪大三郎はこのあと教授になる。同じく、小浜逸郎はフリーではあったが国士舘大学の客員教授になっている。

なお、『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』に笠井潔は参加しなかった。病欠とされている。なお、笠井は2022年に、絓秀実との対談『対論 1968』において、竹田青嗣との決別について述懐している;

絓秀実 ・・・・・全然関係ないけど、 笠井が竹田青嗣と決別したというのは、 歳月を感じる なあ

笠井潔 最初の亀裂はすでに 『村上春樹を巡る冒険』の時にあったんだよ。 竹田と加藤は『ノルウェーの森』を評価したからね。  
 デビュー作の『風の歌を聴け』の主人公は反・全共闘派なんだけど、副主人公の”鼠”というキャラクターはどう読んでも全共闘派なんです。この”鼠”とシニカルな僕との 対抗関係を物語の駆動装置としていた限りにおいて、つまり 初期三部作ということですが、一応は面白く読めた。しかし 3作目の『羊をめくる 冒険で村上春樹は”鼠”を殺してしまう。その後、 『ノルウェーの森』や 『ダンス・ダンス・ダンス』 が書かれるけど、”鼠”が出てこない 村上春樹の小説には関心を持てなかった。しかし 竹田や加藤は、”鼠”なんて、つまり 全共闘なんて昔の話で、80年代の高度消費社会のリアリティは、”鼠”的キャラクターをきれいに消去した 『ノルウェーの森』の方にあるとか言う。 この2人とはもう話が合わないと思い始めたのが、今から思えば 決裂に至る 出発点だね。
 これはもうダメだと思ったのは、 竹田がちくま新書の『人間の未来』( 2009年)で、「最悪の専制権力でもアナーキーよりはましだ」と書いた時かな。もしも早稲田にまたバリケードが築かれたら、全共闘のアナーキーより機動隊の秩序のほうがましだとか教授会で言うんだろう、もう 向こう側の人なんだと 見切ったね。 

(大学解体を叫んだとされる)全共闘だった人たちが大学教授になることには、何か説明が必要かと思うだけど、教授へ向かっている1992年の『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』に何か手がかりがあるのだろう。少し、関連しそうなところを抜き書きした;

▼ 橋爪大三郎の世界観

橋爪 もしね、 「お前は誰なんだ」ということに答えようとするならば、僕が誰かということを言うのは規定性 なんですよ。つまり、何月何日に生まれたとか、何人[なにじん]だとか、 こういう階級に所属しているとか、 こういう教育を受けたとかですね。そういう規定性の全体が 僕だったならば、ルール 主義を取る必要はないんです。で、人間の可能性が、ある拘束を受けて特定の形をとっちゃったということなんですよ。それは偶然的なことだしね、被作為的な、気がついたらそうなっていたということなんです。それをどこまでひっくり返すか ということなんですよ。 ルールのミニマリズムというのは、それをできる限り たくさんひっくり返すことなんですよ。自分の 初期条件をどれだけ 無化できるかということ。それがね、人間の可能性、自分の同類の可能性というのを、どれくらい多く構想できるかということと同じだと思うんです。だから僕が何者かわからなければ、分からないほどいいんです、ある意味では。ただし、それはきちんとひっくり返していった場合に限るんですよ。

岩脇 すごいラジカル やなあ。 そんなことできるのかな

島元 僕は初めて 今 世代格差を感じました 笑。 

参加者B 初期条件って何ですか。

橋爪 たとえば日本人に生まれたっていうことです。簡単に言えば、全共闘世代だとか、こういう体験があったとか、なかったとかね。

(中略)たとえば戦争責任を解消しない限り、ずっと戦争にとらわれ続けるんですよ。日本がアジアに対して 戦争責任を果たして、それを追及する方法を持たなかったら、ずっと後ろめたい 日本のままなんですよ。だからそれを語る言葉を持つべきなんですよ。日本から解放されたければ、そういう文学がないとか、そういうことなんです。

■ 今週の購書

総計 2,500円。8/10、ブックオフ、2割引きだった。8/13まで。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。