安倍首相とトランプ大統領との日米首脳会談が10日に行なわれるが、そこで何が決まり、何が話し合われるかを世界が固唾を呑んで見守っている。安倍首相は超大国アメリカの指導者であるトランプに対して、助言を惜しむべきではないだろう▼トランプの登場はアメリカ国民の支持を受けており、一握りの金持ちに支配されることへの異議申し立てであった。IT産業は膨大な富をアメリカにもたらすとしても、多くのアメリカ人にとっては無縁なのである。リベラルがその声を代弁せずに、結果的に保守派のトランプが代弁することになったのである。安倍首相が主張すべきは、自由貿易の維持である。それが我国の国益にもかなうばかりか、世界の平和と安定にもプラスに働くのである▼高坂正堯は『日本存亡のとき』で自由貿易の意義を説いた。「自由貿易は他の国々がそうするから自らもするというものではない。安くてよいものがあれば外国から買い、自らはその得意とする生産活動をおこなうべきであり、それは他国の行動と無関係に自らの利益になるというのが自由貿易論の立場である。私はそれが大体のところ正しいと思うが、そうである以上、もし日本がそうした場合、日本経済の相対的な強さはより広い舞台で維持されることになる」▼自由貿易のために日本が果たすべき役割を避けて通ってはならない。経済を通じての国際貢献を抜きにしては、日本の繁栄を考えられないからである。
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