安倍元首相を銃撃し、殺人の容疑で送検されたテロリストが、実際には言っていないことまで、県警や奈良地検がリークしているか可能性が出てきた。もしそれが本当ならばとんでもないことである。
精神鑑定中のテロリストの弁護士は去る13日、県警や奈良地検に対して、捜査情報を意図的に報道機関に提供しているとして、抗議文を送ったことを明らかにした。
日本中を揺るがした旧統一教会の問題に関して、県警や奈良地検が果たした役割は無視できないものがある。
本人の供述とされる話が流布され、それで加害者がいつの間にやら被害者になるといった、前代未聞のことが起きたからだ。日本の犯罪史上で考えられないことである。
その点からも、県警と奈良地検がどのようなタイミングで、どのような情報を流したかについては、今後徹底的に究明されなくてはならない。
テロリストがどのような思いから犯行に至ったのかについては、裁判のなかで出てくるはずだ。安倍さんが殺害された直前から、元自衛官とか旧統一教会への恨みとかいう報道が相次いだのは、あまりにも異常であった。
しかも、安倍さんの死によって、誰が得するかを考えれば、慎重に捜査を進め、その背後関係を徹底的に洗う必要がある。
日本の警察と検察の力が日本を守ってきたのであり、国民の信頼を失わないように、その責任を全うしてもらわなくてはならない。その意味でも、国民を混乱させるような意図的な情報リークは、断じて許されるべきではないのである。