安倍内閣が支持されているのは、村松剛が予言していたことを真剣に考慮し、独自の戦略を持っているからではないか▼村松は昭和56年に世に出た『歴史に学ぶ 激動期を生きた人々』において「敗戦後の日本はそれでも幸運に支えられて、繁栄を築いた。だから今後もこれでいいと、漠然と日本人は思いこんでいるふしがある」と警鐘を乱打し、「それが、おそろしい。アメリカにかつての力がなく国際的力関係は変っていくのに、これに対応するストラテジイ(戦略)が一向に示されない、これも日本人の、歴史的宿命であろうか」と書いた▼安倍総理にはストラテジイがある。これまでが幸運であっただけで、それが今後も続くわけはない。戦後レジームの打破といったスローガンにしても、できるだけアメリカと対等の関係を築くことを考えている▼村松はストラテジイという言葉について「戦いの計画を準備し、決定的な諸地点に軍を置き、(忠略)戦闘のさいに成功を収めるために最大量の兵力をはこぶべき場処をさぐる技術」とのリトレの辞書を引用している。大事な所に力を集中しなければ、勝つことは難しいのである。兵力にとどまらず、経済力や武器などを含めて、総合的な力がなければならない。国論を二分してまで安倍総理が平和安保法制や特定秘密保護法案を成立させたのは、戦略上の課題を解決するためであった。ようやくここにきて、やっつけ仕事でないことが評価されているのである。
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