会津が生んだ天才思想家小室直樹は、ソビエトの崩壊を予測しただけでなく、日本人の平和ボケが戦後に限ったことでないのを指摘した▼日本学術会議が戦争に協力する研究を拒否したというのが話題になっているが、小室に言わせれば「戦前の日本の大学で、軍事学部をもつ大学は一つもなかった。とくに、帝国大学は、軍事に関する研究施設をもつことすら拒否した。戦争中すらそうであった」(『アメリカの逆襲』)のである▼小室は「日本の議会に関して特筆すべきことは、明治二十三年から今日にいたるまで、軍事的に有意味な質問がなされたことは一度もなく、政府のナンセンスな答弁に気づいた議員も一人もいない。とくに戦争中の議員の軍事的無知はひどいものがあり、何を質問しても“統帥権の独立”という呪文をとなえられると、ひきさがらざるをえないほど、その無知は徹底していた」(『同』)とも書いている▼戦後もそれは変わらないのである。小室ならずとも、自衛隊を戦力として認めないのに、シビリアンコントロールを云々するのは、論理的な整合性がまったくない。内局は戦争には口を出さないと公言しており、全て制服組に一任するのだという。それでは国民の意思が反映されるわけがない。差し迫った危機に対処するには、国民が軍事的無知から抜け出さなくてはならない。その第一歩が憲法9条の改正なのである。
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