ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.5.28 懐かしくも愛おしい時間

2015-05-28 20:40:59 | 日記
 先日、読売新聞のコラム「こどもの詩」の選者を長く勤めていらした長田弘さんの訃報に接した。
 あのコラムに掲載される詩は本当に可愛らしくて、思わず口に出して読んで夫に聞かせてしまうこともしばしばだった。
 長田さんはじめ、代々の選者を務められた方たちのコメントもまた暖かくて、実に味があって、好きだった。

 珠玉のような・・・と言ってしまえば月並みなのだが、子ども時代にしか言えないような言葉を大切に書きとめて、それこそシャボン玉のように消えてしまわないうちにお母さんが応募したという詩。
 それから20年を経て、20代の若者になった本人が読んで、今でもその言葉に感動するという記事もあった。切り抜いておけばもう少し正確に書けるのだけれど、残念。
 私の記憶に残ってクスッと笑って、うんと暖かい気持ちになったのは「おとく」というもの。

 おとく(6歳の男の子)
 
  ママ いつでも
  ぼくのこと
  ギューって(抱きしめて)
  していいよ
  ぼくはあったかいから
  さむいひは
  おとくだよ

 冬の寒い日に、お母さんがその子の手を包んで「暖かいね」と言ったところ「(冬の寒い日、僕の手は暖かいから)おとくだよ」と返ってきたという。
 なんて可愛い!思わずギューッと抱きしめてしまいたいようだ。
 お母さんは“おとく”が好き。何を隠そう私も“おとく”が好き(誰も訊いてないか・・・)。
 きっとお買い物について行った時か何かで、お母さんが「これはおとくね」と言って手に取るのをじっと見ていたのだろう。大好きなお母さんは“おとく”が好きなんだな、と。僕もおとくなんだよ、だから好きでいてね!と。

 職場で30代のワーキングマザーたちと世間話をすることがある。
 まだ保育園児だったり小学校の低学年だったり。朝は文字通り戦争の時間を過ごして出勤してくるようだ。
 私にとっては、それは懐かしいトイレトレーニングの話だったり、学童クラブのお祭り準備の大変さだったり。

 頑張れ~と思う。早く早く大きくなあれ、と思っていたのに、気付いてみればそんな時間はあっという間。
 一緒に手を繋いで「ママ、ママ」と歩いてくれた時間、顔を真っ赤にして泣きながら突進してきてくれた時間がどれほど尊く愛おしく感じることか。
 過ぎてみないと分からないことは多いけれど、本当にあの時息子が発したあの言葉、あのフレーズ、「こどもの詩」に応募はしなくとも、きちんと書きとめておくんだったなあ、と一人懐かしく思うのである。

 まあ、おねしょをした時のコメントやら、お医者さんごっこの折に言った台詞など、本人に言わせれば「黒歴史!」と一刀両断にされてしまうことも多いのかもしれないけれど。

コメント
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