FPの家で暮らす

ストレスフリーなFPの家で ひとり暮らし満喫

「闇の伴走者」

2012-08-04 11:16:50 | 本・映画・音楽の感想

わたしの好きなまんがのひとつは「MASTERキートン」だ。
そして、ユニークなアイディアを思いつく勝鹿北星という謎の原作者に興味津々だった。
(加えてニュアンスのあるヨーロッパの街並みを描くアシさんのファンでもあった)
原作者は勝鹿北星となっているものの、実際はほとんど話を書いておらず、
浦沢さんと担当編集の長崎尚志さんが主に話を作っていたとあとで知った。
その長崎尚志さんが書いた小説と聞けば、これはもう読まずにはいられない。

話の発端はこう。亡くなった巨匠漫画家の遺稿のなかから見つかった未発表原稿には、
若い女性を誘拐・監禁して殺す<漫画家>が淡々と描かれていた。
しかも、被害者の顔は35年前の連続女性失踪事件の被害女性にそっくりだった。
元警官で調査会社に勤める優希と、元漫画編集者だった醍醐は
巨匠漫画家の未亡人に依頼されて、書き手の正体を調べはじめる。

昔の連続失踪事件を調べるだけのはずが、亡霊を呼び覚ますこととなり、
新たな事件が起こって、優希にまで危険が迫ってくる。
物語は二転三転し、ようやく解決したと思ったあとにももう一波乱起き、
最後まで気が抜けない。ネタバレになるのでストーリーについては何も書けないが、
とにかくおもしろい。あちらこちらで醍醐が薀蓄を披露する場面があるのは、
「MASTERキートン」の知恵袋の面目躍如というべき。
もちろん昭和の漫画史や、漫画論、業界の事情にもたくさん触れられている。
しかも視点がマニアック。また、遺稿から手がかりを見つける目の
つけどころも並じゃない。

副題に「醍醐真司の猟奇事件ファイル」とあるからには、このコンビの
続編を期待してもいいのだろうか。ただ、醍醐は100キロを超える巨漢で、
スナック菓子やジャンクフードをがまんできない食欲の塊。
映像で見たくはないなあ。


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