最近、あれほど空気が悪かった会社の事務所の居心地が……
よくなったとは言わない。いくらかましになった。
理由は、またひとり社員がやめたせいかもしれない。
その男性社員は事務に配属されてまだ1年未満だった。
仕事もかなりできるようになり、頼りにするケースも増えていた。
でも、この会社の体質は、100%きちんとできて当たり前。
(人間だからミスをするのは仕方ない、と上司は言うがそれは建前)
ぜったい褒めることはせず(上の人間全員)、ミスをすればネチネチとしつこく小言を言われる。
直接の上司、その上の上司、さらにその上の上司、それぞれから。
この男性社員も何度か、かなりくそみそに叱られていた。
わたしとふたりだけになったときなど、「もうやってられない」と数度打ち明けられた。
わたしは「若いんだから、早めに努力が報われる会社を探した方がいいよ」と答えた。
だから、やめるのは予測していた。
この男性社員がやっていた仕事を、上司はパート女性に一から教え始めている。
やめた男性社員に、半年くらい前に教えたことを繰り返しているわけだ。
すごい無駄だし、上司にとっても手間がかかることだ。
それゆえ、いくらか反省して、これ以上退職者が続いたら困るってことで、
事務所の空気が少しだけ改善されたのだろう。
まあ、でも、これが継続するとはとても思えない。
しばらくしたら、また元の空気に戻るにちがいない。
それにしても、わたしが入って数年、わたしより後に入った社員、派遣、
パート、契約社員、いったい何人やめたことか。20人はいる?
わたし自身やめようと思って、他の会社の面接を受けたこともあった。
しかし、この会社にあって他の会社にはないメリット(人間ではなく制度)を鑑みているうち、
事務所の癌であった大局が去り、中局が配置換えになり、
(このふたりがいた最悪な頃を知らない人たちは、現状でも最悪だと言うけど)
なんとか続いて今に至っている。