散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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エスニック・ステレオタイプ

2014-02-11 12:40:46 | 日記
2014年2月11日(火)

 祝日だが日頃の働きが悪いので、自宅で締切間近の原稿に取り組む。
 とほほの昼休み、CNNのページが面白いので貼りつけておこう。よくある民族別ステレオタイプだが、どうせならこれに「イギリス人対策」も加えておいてほしかった。それこそユーモアを知るイギリスらしくて拍手喝采なのにな。
 H君、書いてみませんか?

(CNN)
 英国を訪れる外国人客に、ホテル従業員はどう対応すべきか。英観光庁がこのほど作成した観光業界向けの手引きには、相手の国ごとに興味深いアドバイスが並んでいる。
 「カナダからの訪問客を米国人と呼んではいけない」「インド人は愛想が良いが、気が変わりやすい」――大胆に言い切るその内容は、一部の英メディアから不評を買っているようだ。
 ロシア人は長身なので、天井の高い部屋を用意するべきだという項目もある。世界各地を駆け回る同国随一の国際派、プーチン大統領の身長は170センチと決して高くないが、例外扱いといったところか。
 フランスでも昨年、パリの観光局が外国人に対する国別接客マニュアルを配布した。「ブラジル人はスキンシップとタクシーを好む」「スペイン人は無料品と遅めの夕食が好き」など、それぞれの「国民性」が盛り込まれた。
 英国版の手引きに書かれた、そのほかの「やるべきこと」「やってはいけないこと」を紹介する。

・日本人の要望には、たとえ具体的に言われなくても、すべて先回りして対応すること。

・ドイツ人とオーストリア人は総じて遠慮がなく要求が厳しいため、無礼で攻撃的に見えることもある。苦情には迅速に対応すること。

・オーストラリア人が冗談で英国人を「Poms」という俗称で呼ぶのは、親しみを込めた表現だと心得ておくこと。

・香港の迷信深い人には、歴史ある建物や四柱式のベッドで眠るのは幽霊が出そうだと嫌うので、勧めてはいけない。

・面識のないフランス人にはほほ笑みかけたり、目を合わせたりしてはいけない。

・ベルギー人には、同国の複雑な政治や言語圏の話をしようとしてはいけない。

・日本人客にははっきり「ノー」と言わず、もっと感じの良い言い方を考えなければならない。

 
http://www.cnn.co.jp/travel/35042302.html?ref=yj

健康な本能/雪融けて恥現わる/バスの風景

2014-02-11 09:55:38 | 日記
2014年2月11日(火)

 土曜に大雪、日曜に雪かき、となれば月曜は?
 週明けで登校した小中学生の、雪合戦の日だ。

 昨夕、近くまで外出の時間がちょうど下校時、区立N小とJ中の児童生徒が入り交じり、歓声をあげて雪と戯れている。みんな頬は真っ赤、素手で雪を掬い、雪玉を投げ、ぶつけてはぶつけられ、寒いも冷たいもありはしない。
 いいなあ、この元気。
 16年ぶりの大雪だもの、君たちは間違いなく「生まれて初めて」なのだ。それでも誰に教わるまでもなく、こうして駆け回り、笑い転げる。黎明期の原始人類の集落でも、雪が積もればこうしてはしゃぎ回る子ども達の姿があっただろう。育つ者の健康な本能が、正しくも君たちを駆り立てるのだ。
 やっぱり、もう少し雪が降ってもいいかな。
 一冬に一回ぐらい。

***

 融け始めた雪の歩道、最低だ。
 犬の糞だらけ。駅までの約1㎞、バス通り沿いの歩道も、折れて入った遊歩道も、ず~っとだ。
 積雪でも犬はかまわず(余計喜んで?)散歩を求める。何かが足りない飼い主が、人目のないのを幸い始末もせずに歩き去る。日頃は遠慮がちに路側に遺されるそれらが、今は歩道の真ん中に潰れている。雪解け水が絵の具をパレット上に展開する要領で、実に効果的に歩道全体に汚物を拡散させる。

 恥、知りましょうね。

 やっぱり、雪はあんまり積もらなくていい。
 僕らの低級な民度に、純白の雪は高尚すぎる。
 「火事喧嘩伊勢屋稲荷に犬の糞」だってさ、江戸時代と変わらないんだよ。

***

 パンディーが嘆かわしそうに首を振っているかな。
「皆がそうっていうわけじゃないんですよ」とか言いながら。
 Mさんから来信。

 バスに乗りました。
 今まで気がつかなかったのですが、運転手さんの後ろに座ろうとしたら四角な箱があって、正面に二つ窓が開いています。
「運転手さん、これなんの募金箱ですか?」
「募金箱じゃあないんです。」
「なんですか?」
「時刻表です。」
 言われて全体を触ってみると、なるほど上側には蓋がなく、時刻表がとれるように空いていました。

 ・・・募金箱、置いたらいいのにね!

「募金箱をおいていた時期はありましたよ。」とMさん。

 納得。

愛育黎首 臣伏戎羌  ~ 千字文 015/あずまゑびすの建国記念

2014-02-11 08:48:40 | 日記
2014年2月11日(火)

 「建国記念日」こと、「信教の自由を守る日」
 「国」の定義にもよることで、憲法の根本的な改変毎に「国」のあり方が刷新されたとするフランス流の立場をとれば ~ 現在は第五共和制 ~ 現今の日本の建国記念日は5月3日であるとも言える。
 神話や伝承は大好きなので、2月11日があること自体は心楽しむところがあるが、それを政治の方向性と関連づけられるのはまっぴら御免だ。

 さて、と。

◯ 愛育黎首 臣伏戎羌(アイイクレイシュ シンプクジュウキョウ)
 民を愛しみ育み、蛮族を家臣として服従させる。

 黎首の黎は「黒」という意味だそうだ。僕がこの字を知ったのは昭和43年頃、『巨人の星』が単行本化され、その第一巻が『黎明編』と題されていたからで。
 黒々とした空に明るみのさす夜明けが「黎明」ということか。
 黎(くろ)い首(あたま)、すなわち民衆のことだそうな。

 フシギだな、話題を変えたつもりなのに、千字文に押し返された。
 戎・羌は西方の蛮族、僕ら日本人は東方の夷(えびす)だね。

 七福神の中で日本列島の産は「ゑびすさん」だけ。しかし調べていくと、「ゑびす」という言葉が蕃神(ばんしん)すなわち外来の神にあてられていた時期もあり、伝来当時の仏教は「ゑびす」(蕃神/トナリノクニノカミ)と呼ばれたりしていたんだそうだ。厄介なひねりだ。漁業神でもあるゑびすさんはクジラに投影されたりしていて、実体としてはまったくもって地元そのものである。
 中華から見た場合の夷(トナリノクニ)が自分自身だというのは、自己規定としては転倒している。「天孫降臨/建国記念」の発想は、転倒を覆して健康な自己規定を回復しようとする試みなわけで、その限りでは至って自然なものだ。しかし、そうして立てられた新たな中央は、直ちに周辺に新たな「蛮族」をつくり出す。それを覚えつつ、「われらゑびすの民」と胸を張ってみるのも一興か。

 清水寺を訪れる時は、アテルイ(阿弖流為)とモレ(母禮)の碑にも注意を払いたい。