散日拾遺

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蓋此身髮 四大五常 ~ 千字文 019/天声人語『スマホフリー』

2014-02-15 09:37:09 | 日記
2014年2月15日(土)

◯ 蓋此身髮 四大五常
 そもそも我らが身体髪膚は、地水火風の四大からなり、仁義礼智信の五つの徳を備えている。

 道徳、あるいは倫社の時間。

 「身体髪膚これを父母に受く」(『孝経』)
 古めかしくもカッコイイ言葉で、一言すげ替えれば聖書の金言として通りそうだ。
 「身体髪膚これを神に受く」
 粗末にできるはずがない、という理屈。もちろん他人の身体も、である。
 
 四大は地・水・火・風、エンペドクレスは中国人?
 彼の場合は、これら四つのリゾーマタ(エレメント)を結ぶものが愛 φιλια、分かつものが憎であり、その離合集散・動的反復の場が宇宙であるとする。
 ちなみに『老子』では、「天・地・道・王」を四大とするそうだ。

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 今朝の天声人語、満腔の共感をもって転載しておく。

勘違いしそうな英語の一つに「スモークフリー」がある。たばこ吸い放題、ではない。反対に、たばこを吸わない、煙で悩まない、といった意味だから間違えると大変だ。フリーとは本来、何らかの拘束から解放された状態をいう▼それに倣(なら)えば、スマホフリーはスマートフォンを使わないこと。できるわけない、と悲鳴が聞こえそうだが、試みている会社が岐阜県にある。私用のスマホを使わない社員に、毎月5千円の奨励金を出す制度をつくった▼関市の岩田製作所で、正しくはデジタルフリー奨励金と呼ぶ。社員が下を向いてスマホをいじり、昼休みの会話も減った光景に岩田修造社長(65)が考えた▼「人と話す。本を読む。物思いにふける。そんなアナログ的時間と空間が増えれば、想像力、表現力、他人をおもんぱかる力がつく。10年もしたら相当に差が出て、企業としての競争力がつくだろうと思う」。その言葉にうなずく▼社員90人のうち20人が手を挙げた。まだ多くはないが、「全員が挙手する会社なんて気持ち悪い。ぽつぽつと、徐々に変わればいい」。デジタルの奔流に溺れかかる時代に、「手ぶら」の爽快と効用は貴重である▼思えばスマホは、多種多彩なアプリでいよいよ厚化粧になって、人を手招きする。〈スマホをば二十一世紀の阿片(あへん)とは言い得て妙なり今日の車内は〉と昨年暮れの朝日歌壇にあった。きつい一首だが一面の真実でもあろう。ときには「フリーの風」に吹かれる一日が、あっていいと思う。