2014年9月19日(金)
Yさんは、ポポと二人三脚で夏を乗り切った。二人三脚・・・一人と一羽で、脚は6本だから・・・どうなる?
10年のつきあいで、この夏はじめて経験したこと、ポポがイビキをかいたんだって!
「夢を見るのは、知ってたんです。眠ってる最中に、ときどき目がキョロキョロ動いて、脚をバタバタさせてますから。」
REM睡眠!ウサギさんにもあるのか。夢、どんな夢を見るのだろう。
「でも、この間は確かにググ~って、イビキかいてて。からかうと気にすると思ったけど、ポポ、あんたさっきイビキかいてたよ、って言ったら、何だかモジモジ気まずい様子で。」
読み込みすぎ?そんなことはない。感情は論理と違って驚くほど伝わるものだ。
ポポは至って気立てが良いけれど、時に「すねる」ことがあるのだという。
「帰宅した時に慌ただしかったりして、『ただいま!』ぐらいでぞんざいに済ませて、他の家族と話なんかしてたりすると、壁を向いたまま動かなくなるんです。全身を耳にしてこちらの様子を聞いていながら、頑として振り向かないの。寝る時間になって、今日はゴメンねって言うと、黙ってノソノソ寝床に帰って行くんです。」
Yさんの語り口が、書いてもうまく再現できない。茶と白のツートンカラー、もっこりした姿をケータイの待ち受け画面で拝み、湯気のように立ち上ってくる可笑しみのまま、心ゆくまで笑った。
同じ和みが、Yさんの家庭を満たしている。
認知症を危ぶまれるお父さんが、夕べには必ずポポにお休みを言いに来る。「これ、いるか?」と、頭の上に指を立てて入ってくるのだ。
Yさんが庭の草花を一輪挿しに挿したのがしおれてくると、お父さんが「あのお花、心和んでないなあ」と困ったように言う。
バチカンのパパ様が全世界のカトリックの太陽であるように、長耳のポポ様がT家の日だまりの中心である。
***
スコットランドは分離せず。
投票直前の予想通りで、野次馬的にはちょっと残念。他国の分裂を喜ぶ謂ではなく、平和で栄誉ある分離のお手本を見せてほしかった気持ちがあるからだ。
それでも、この大事を正面から議論の俎上に載せ、堂々の論戦の末に公明正大な決着、430万人近い有権者の85%が投票し、そうした意思決定プロセス自体が「横綱相撲」の貫禄を示している。独立に賛成した160万人あまりも、当然のこととして粛々と決定に従っていく。
見事だ。
新聞一面に「(独立を望む4割以上の人々を)さらに上回る数の人々が、英国人としての帰属意識を保つ道を選んだ」とあるのは、少々違うのではないかしら。そのすぐあとに、「経済政策の青写真があいまなまま独立すれば暮らしに響くと説得され、現状維持を望んだ。統合の潮流の中あえて分離する利益は見いだせなかったのだ」と書かれてある、そのことだと思う。
要するにきわめて現実的な選択なのだし、そうであるのが当然だ。キャメロンが自治権拡大を表明したことを今は十分の成果として、いったん矛を収めたと見るのが妥当と思われる。
後出しになるけれど、23日(火)の社説「余滴」の記事に同感する。
まてよ、独立派は本当に敗れたのか?
スコットランドはこの15年あまりの間に広範囲な自治を獲得し、今や保健、社会サービスから教育、経済開発までも担う。英政府が持つ権限は外交、国防、金融などに限られる。しかも今回は、さらなる自治拡大の言質まで引き出した。
これって独立したのと、どこが違うのか?(中略)
独立の夢破れて泣いているようで、彼らは実はほくそ笑んでいるかもしれない。
(国末憲人氏)
ついでに言うなら、投票者中の高齢者らが年金への不安などから独立に消極的だったのに対し、若年層では独立賛成派が圧倒的に多かったという。いずれあらためて問題になることだろう。
それより、さしあたりはカタルーニャに注目だ。

***
仁川アジア大会、日本男子ホッケーチームが、見学に来ていた女子高生約20名に記念品として日本ホッケー協会のバッジを渡した。ところがその意匠が、ホッケーのスティックを2本組み合わせた下に太陽を描いたもので、「旭日旗を連想させる」として問題になったという。
女子高生らは学校の先生に報告し、学校が大会組織委員会に問題として報告した。みんなずいぶん良い子たちだ。報告を受けて組織委が詳細を調査中というんだが、調査って、何をどう調査するんだろう?
図柄は確かに旭日旗に似ているけれど、太陽を図案化すればおおかたこんな絵になるのは避けがたい。朝日新聞社の社旗なんか旭日旗そのもので、よくぞGHQ時代を生き延びたものだと思う。いくら何でも過剰反応というものだ。

最近、韓国のことが心配である。アメリカでキム・スンヒョンの一家と知り合って以来、韓国人に対する自分の気持ちが大きく変わって和やかなものになった。だからこそ心配なのである。この種の問題への彼らのこだわり方が、とても健全なものとは思えない。
「ネガティヴ・アイデンティティ negative identity」というのが正しい英語かどうか知らないが、精神保健福祉の現場でしばしば問題になることだ。まさしくそのようなものとして、過去の記憶に未来までも支配する力を与える作業に、彼ら自身が好んで没頭しているように思えてならない。
他山の石、か。
スンヒョンなら、困ったように頭を振って僕の肩を叩いたことだろう。
「おれ、タバコ吸ってくるよ。そしたら一緒にコーヒー飲もう。」
やれやれ、おまえ今どこにいるんだ?
Yさんは、ポポと二人三脚で夏を乗り切った。二人三脚・・・一人と一羽で、脚は6本だから・・・どうなる?
10年のつきあいで、この夏はじめて経験したこと、ポポがイビキをかいたんだって!
「夢を見るのは、知ってたんです。眠ってる最中に、ときどき目がキョロキョロ動いて、脚をバタバタさせてますから。」
REM睡眠!ウサギさんにもあるのか。夢、どんな夢を見るのだろう。
「でも、この間は確かにググ~って、イビキかいてて。からかうと気にすると思ったけど、ポポ、あんたさっきイビキかいてたよ、って言ったら、何だかモジモジ気まずい様子で。」
読み込みすぎ?そんなことはない。感情は論理と違って驚くほど伝わるものだ。
ポポは至って気立てが良いけれど、時に「すねる」ことがあるのだという。
「帰宅した時に慌ただしかったりして、『ただいま!』ぐらいでぞんざいに済ませて、他の家族と話なんかしてたりすると、壁を向いたまま動かなくなるんです。全身を耳にしてこちらの様子を聞いていながら、頑として振り向かないの。寝る時間になって、今日はゴメンねって言うと、黙ってノソノソ寝床に帰って行くんです。」
Yさんの語り口が、書いてもうまく再現できない。茶と白のツートンカラー、もっこりした姿をケータイの待ち受け画面で拝み、湯気のように立ち上ってくる可笑しみのまま、心ゆくまで笑った。
同じ和みが、Yさんの家庭を満たしている。
認知症を危ぶまれるお父さんが、夕べには必ずポポにお休みを言いに来る。「これ、いるか?」と、頭の上に指を立てて入ってくるのだ。
Yさんが庭の草花を一輪挿しに挿したのがしおれてくると、お父さんが「あのお花、心和んでないなあ」と困ったように言う。
バチカンのパパ様が全世界のカトリックの太陽であるように、長耳のポポ様がT家の日だまりの中心である。
***
スコットランドは分離せず。
投票直前の予想通りで、野次馬的にはちょっと残念。他国の分裂を喜ぶ謂ではなく、平和で栄誉ある分離のお手本を見せてほしかった気持ちがあるからだ。
それでも、この大事を正面から議論の俎上に載せ、堂々の論戦の末に公明正大な決着、430万人近い有権者の85%が投票し、そうした意思決定プロセス自体が「横綱相撲」の貫禄を示している。独立に賛成した160万人あまりも、当然のこととして粛々と決定に従っていく。
見事だ。
新聞一面に「(独立を望む4割以上の人々を)さらに上回る数の人々が、英国人としての帰属意識を保つ道を選んだ」とあるのは、少々違うのではないかしら。そのすぐあとに、「経済政策の青写真があいまなまま独立すれば暮らしに響くと説得され、現状維持を望んだ。統合の潮流の中あえて分離する利益は見いだせなかったのだ」と書かれてある、そのことだと思う。
要するにきわめて現実的な選択なのだし、そうであるのが当然だ。キャメロンが自治権拡大を表明したことを今は十分の成果として、いったん矛を収めたと見るのが妥当と思われる。
後出しになるけれど、23日(火)の社説「余滴」の記事に同感する。
まてよ、独立派は本当に敗れたのか?
スコットランドはこの15年あまりの間に広範囲な自治を獲得し、今や保健、社会サービスから教育、経済開発までも担う。英政府が持つ権限は外交、国防、金融などに限られる。しかも今回は、さらなる自治拡大の言質まで引き出した。
これって独立したのと、どこが違うのか?(中略)
独立の夢破れて泣いているようで、彼らは実はほくそ笑んでいるかもしれない。
(国末憲人氏)
ついでに言うなら、投票者中の高齢者らが年金への不安などから独立に消極的だったのに対し、若年層では独立賛成派が圧倒的に多かったという。いずれあらためて問題になることだろう。
それより、さしあたりはカタルーニャに注目だ。

***
仁川アジア大会、日本男子ホッケーチームが、見学に来ていた女子高生約20名に記念品として日本ホッケー協会のバッジを渡した。ところがその意匠が、ホッケーのスティックを2本組み合わせた下に太陽を描いたもので、「旭日旗を連想させる」として問題になったという。
女子高生らは学校の先生に報告し、学校が大会組織委員会に問題として報告した。みんなずいぶん良い子たちだ。報告を受けて組織委が詳細を調査中というんだが、調査って、何をどう調査するんだろう?
図柄は確かに旭日旗に似ているけれど、太陽を図案化すればおおかたこんな絵になるのは避けがたい。朝日新聞社の社旗なんか旭日旗そのもので、よくぞGHQ時代を生き延びたものだと思う。いくら何でも過剰反応というものだ。


最近、韓国のことが心配である。アメリカでキム・スンヒョンの一家と知り合って以来、韓国人に対する自分の気持ちが大きく変わって和やかなものになった。だからこそ心配なのである。この種の問題への彼らのこだわり方が、とても健全なものとは思えない。
「ネガティヴ・アイデンティティ negative identity」というのが正しい英語かどうか知らないが、精神保健福祉の現場でしばしば問題になることだ。まさしくそのようなものとして、過去の記憶に未来までも支配する力を与える作業に、彼ら自身が好んで没頭しているように思えてならない。
他山の石、か。
スンヒョンなら、困ったように頭を振って僕の肩を叩いたことだろう。
「おれ、タバコ吸ってくるよ。そしたら一緒にコーヒー飲もう。」
やれやれ、おまえ今どこにいるんだ?