いとおしむ生命のあかり金蘭よ 章子
夏至の日やなんか得したひと日なり
シャンプーの香る少年蛍の夜 薪
浜昼顔錆濃き線路跨ぎおり
鵜篝の照らす水面や翁の目 豊春
夏燕地這うごと来て反転す
墨文字の滲む貼り紙夏祓い 歩智
山盛りの山成り胡瓜山と買い
風青く協奏曲のレベル上げ 鼓夢
老鶯を浴びて一日の始めとす
滴りや怪我せし指のもどかしさ 洋子
カフェテラス地場夏野菜並びおり
肺胞に伝うニコチン滴れる 炎火
合歓の花酸素を出してくれている
正論が空廻りする蚊遣香 雲水
箱根路やどの滴りも青かりし
漬物を盛りし器の茄子絵柄 余白
そこかしこ未熟青柿道に墜ち
滴りのふくらみしおり煌めける 稱子
青葉風日がな一日鳥啼いて