海女小屋に海女の声無し北風吹く 海人
潔く白菜十字に切られおり
熱燗の二本で遊ぶ江戸の街 鼓夢
都鳥問えど滔々隅田川
暗雲に金の縁取り初日の出 薪
山葵田を浄めゆく水去年今年
賀詞交す皆よそゆきの声をして 洋子
紅梅を指で引き寄せ口づけす
薄氷満天の星封じけり 豊春
うすらひの底に不屈の草芽かな
茶を点てる雪見障子の夕明り 稱子
穏やかな日々あれば良し福寿草
雪見酒すぐ花見酒月見酒 炎火
大吉と中吉の孫初詣
枯芝を雪と見まごう寒の望 歩智
小正月残りものあり粥を炊く
寒椿望月入りて日の出かな 余白
空晴れて枇杷の花咲く馬込かな
再会に目が物を言う冬帽子 章子
雪見酒独りと思ひ苦笑い
見逃してしまう薄さの初氷 雲水
目白に蜜柑切って俎始かな