土曜日のランチは先週同用、ジェイク君の理髪店で食べることになった。 床屋の数件隣に建つバーのピザだ。この二人はこれがやけに気に入っているけど私には大したものには思えない。
まあまあ
でもこの辺りで食べれるピザの中では トップかも、、、
そのピザを紙皿に二切れ取った私は勿論 ソーセージの一粒もクラストの一欠片も残さず食べた。ご飯の一粒も残さず食べるよう 子供の頃に言われついた習慣は抜けない。でもこの二人は違う 特にジェイク君
何を食べてもお皿に一口で終わる量を毎回のように残し 捨てる。
その日床屋に向かう道中 この郡に一つだけ立つ信号機のある交差点のど真ん中に黄色いベストを来た男性が缶を持って立っているのが見えた。
”ライオンズクラブだ。” と同時にバッキーと顔を見合わせた。
彼らは年に何度かこうした基金活動をされている。
バッキーが1ドル札を缶に入れると そのお礼に同じ缶からミントを取り手渡してくださった。
懐かしい口当たりだ。
ジェイク君が大きな影響を受けたと言う人にライオンズクラブに所属するトムさんがいる。
旅に出ることもあってか、最近トムさんの話も多く口にするジェイク君だ。
私がトムさんに初めて会ったのは ベーカリーで働いていた頃で そうだなぁ 10年ぐらい前になるかなぁ。
ある日仕事をしていると、この田舎で見る男性の中ではスタイルのいい中年男性がケーキの注文にやって来た。
その男性トムさんはライオンズクラブで使うケーキのオーダーに来られ、手描きしたライオンズクラブのロゴで飾ってくれ と言われた。短い会話ではあったけど、口ぶりといい素振りといい教養のある紳士を思わせる彼に私はいい印象を持った事だった。
それから何年かして、彼の家のホームパティーに招待された私はトムさんがペイントをして収入を得 経済的に不安定な暮らしをされている事を知った。教養の高い紳士を高給取りと一人で決めつけていた私はそれとかけ離れた暮らしをしているトムさんを知って逆に興味を持った事だった。
ある日 街のバーでトムさんと一緒に飲んでいた私が ふと彼の顔を見上げた瞬間 何というのか 彼の魂の年齢のような物を感じ その数の多さに驚いた事があった。300歳以上の年をとられていたからだ。
後にも先にも証明も出来ないそんな物を感じたのはトムさんだけだけど
彼の紳士ぶりはそこから来ているのかも知れないと一人で思っている。
何度も輪廻転生をされた彼はすっかり悟りを開かれたとでも云うか、、。
そして私より数年若かったトムさんは6年ほど前に50代で突然亡くなられた。
高い空をカナディアンギースが大きな声をあげて南部に渡っていた。
キャンプ場では秋キャンプを楽しむ人達がテントを貼っている。
足元に咲いていた野の花に目をやると
葉が虫に食われて穴だらけ
それでも花を開かせる姿に
心動かされた。
ぽちっとね