分からない
ケーキのオーダーを仕上げていると
”ヘイ ネイバー” と言う男性の声がした。
顔を上げると
麦わらのカウボーイハットを被ったボブさんが
棚に並べたパンの間から顔をだしていた。
我が家の近所に住むボブさんは
既にリタイヤされ奥さんと二人で
丘の上に建つログハウスに住んでおられる。
早朝から日が落ちる時間まで何度も近所を
ウォーキングされているボブさんには
タコタと言う犬がいて 仕事に行く道
タコタと散歩されているボブさんをよく見かけていた。
そのボブさんの姿を暫く見ることがなかったので
ボブさんに何かあったのか と心配していた所だった。
”最近
ウォーキングされているのを見かけませんでしたが、” と言うと
”歩くコースを変えたんですよ。” と言ったボブさんが
新しいウォーキングコースがどこなのか説明を始める。
地理に弱い上、通りの名前もろくに知らない私には
ボブさんの話はチンプンカンプン
理解したいという気持ちもないので
頷きながら聞いた。😜
”タコタはどうしてます?” とボブさんの愛犬の事を訊くと
”2ヶ月前に亡くなったんですよ。” とボブさん。
それでハッとした。
タコタと散歩した道を歩くのが辛く
ウォーキングコースを変えられたのかも知れない と
一人で勝手に想像した私は
言葉に詰まって会話がそこでプツンと切れた。
私は人が愛する者を失って悲しむグリーフというのが
良く分からない。
分からないので、
そんな自分から出る言葉は、
軽いように思え、かける言葉に困る。
”今日は妻が特別に注文したストロベリーフリッターを
取りに来たんですよ。
妻のシスターの好物で今日は彼女の誕生日なんで
フリターでお祝いするんです。” と
言うボブさんにその商品を手渡して別れた。
😊 😊 😊 😊
バッキーの口に合うと良いな と思いながら
自分が食べたいものを夕飯に作った。😜
”食欲がないから小さな皿に盛ってくれ” と
言ったバッキーが
お代わりをしたのは嬉しかった。