日々の覚書

MFCオーナーのブログ

想い出のアルバム-TURN BACK

2007年03月29日 23時17分32秒 | 想い出のアルバムシリーズ

Turnback

ターン・バック/TOTO(1981)

1.ゴールデン・ガン
2.イングリッシュ・アイズ
3.リブ・フォー・トゥデイ
4.ミリオン・マイルズ・アウェイ
5.グッドバイ・エリノア
6.スタンド・ユー・フォーエバー
7.ターン・バック
8.ラスト・ナイト

気のせいかもしれないが、日本で最も人気のあるロックバンドはTOTOではなかろうか。とにかく、ファンが多い。「ファンです」と公言しなくても、何かのきっかけでTOTOの話が出ると、「実は好きなんです。昔、よく聴いてました」と言い出す人が多くて、「えっ!あなたもですか?」と驚いてしまうバンドのNo.1である。少なくとも、僕の周囲では。去年の来日公演も、僕以外は皆行ったのではないか、と勘ぐってしまうくらい、見に行った人が多かった。ファン率の高さといったら、ビートルズ・ストーンズ・クイーンの3大Bを凌ぐのではないか。この3大Bの場合は、熱心なファンが多数いる反面、「知らない、聴いたことない、興味ない」という人の数もそれなりに多いのだが、TOTOに関しては、そういう人は皆無とすら思える。コピバンだってたくさんあるし。何故、TOTOはこんなに日本で人気があるのか。

TOTOといえば、さらに不思議なのだが、メンバーの中では特にジェフ・ポーカロが人気あるように思う。ドラマーが一番人気というのも珍しいけど、この人の場合、ドラマーでない人にも大変な人気があるのだ。ジェフ・ポーカロ、コージー・パウエル、キース・ムーン、の3人は“ドラマーでない人にも人気あるドラマー”のベスト・スリーと言っていい。ま、確かに上手い人ではあるけど...

ただ、TOTOのサウンド・イメージを固めていたのは、ジェフ・ポーカロであるのは間違いない。この人のプレイを一言で言ってしまうと「タイト&ジャスト」、非常にかっちりとしたプレイをする人だ。ルーズなノリとか、ファンキーな感覚とかは、あまり感じられない。それまでのロックやR&Bのドラマーとは、明らかに違うタイプ。要するに黒くないのだ。そこいらが物足りない、という声も聞いた事あるけど、そのジェフ・ポーカロの“上手いけど黒くない”ブレイが、TOTOのようにブルージーでもなくファンキーでもなく、けどロックンロールでもなくプログレでもない、というバンドの音にはピタリとハマるのだ。彼がTOTO結成以前にプレイしたスティーリー・ダンやボズ・スキャッグスにも、それは当てはまる。黒人音楽をルーツにはしているが、それを独自に消化してコピーではない新しいタイプのロックを志向した彼らに、ジェフ・ポーカロのドラムは大きく貢献した。そしてTOTOやボズの成功は、後のブラコンやAOR、或いは産業ロックといったジャンルの確立に繋がっていく。そういったジャンルの音楽が徐々に浸透していった70年代から80年代にかけて、ジェフ・ポーカロが多くのセッションに参加しているのは、単に上手いからというだけの理由ではない。彼の“黒くない”プレイが必要だったからなのだ。ジェフ・ポーカロは“非黒人音楽”の第一人者なのである。

やや話が逸れたが(笑)かくいう僕もTOTOは好きだった。ジェフ・ポーカロにも憧れ、尚且つ影響を受けた一人でもある。その割には、自分のプレイに片鱗すらないのは悲しいが(爆) アルバムも、ジェフ・ポーカロ存命中の『キングダム・オブ・ティザイア』まではずっと買ってた。ドラマーが現在のサイモン・フィリップスになってからは、あまり聴いてないけど^^; 1995年の『タンブ』の印象があまりにも悪かったせいもあるが(笑)、やっぱりジェフ・ポーカロのいないTOTOなんてTOTOじゃない、という思い込みもあったからだ。なので、1998年のデビュー20周年記念盤『TOTO XX』は、喜んで聴いてた(笑) けど、バンドとして本当に好きなのは、この『ターン・バック』を含む80年代前半までのTOTOである。こればかりは否定できない。

という訳で、やっと『ターン・バック』の話になった(爆) かなりギターを前面に出し、ハードロックバンドみたいな作りだが、実は哀メロ(Cジャスミンさん)満載のアルバムなのである。最初に聴いた時は、それこそギターが目立ちすぎてるような気がして、今イチ好きになれなかったが、何度も聴くうち、丁度高校を卒業する頃で精神的に不安定だった事もあって(笑)、哀愁すら感じさせる楽曲たちにすっかり魅せられてしまった。「ミリオン・マイルズ・アウェイ」「ラスト・ナイト」あたりも、ほろりとするメロディの佳曲だが、なんといっても僕は「スタンド・ユー・フォーエバー」が一番好きである。歌いだしからサビに至るまでのメロディが、とにかく素晴らしい。そこに絡むアルペジオも秀逸。ギターソロも泣ける。次曲の「ターン・バック」へのシーケンスもドラマチックでたまらん。地味ながらも名曲である。

冒頭を飾る「ゴールデン・ガン」もまたカッコいい曲なのだが、この曲もホロッとくる部分がある。「グッドバイ・エリノア」は、その頃周囲の連中はこぞってコピーしてた。TOTOのコピバンなら、必須曲であろう。この曲もそうだけど、全体的にシンプルに作ってあるようでいて、さりげなく高度なテクニックをかましてくるのが、実にTOTOらしい。その上、哀メロ(Cジャスミンさん)てんこもりだ。当時、日本でよく売れたのが分かる気がする(笑) 個人的には、『宇宙の騎士』や『ハイドラ』の方が好きだけど、『ターン・バック』はTOTOのアルバム中、最も琴線に触れる曲が多いアルバムと思う。故に、想い出深いのだ。人を喰ったジャケットもよろしい(笑)

コメント (21)
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