先日、とあるテレビ番組で、良い睡眠・正しい睡眠を専門家が検証し、スタジオにいるタレントたちにレクチャーする、というのをなんとなく見ていたのだが、出演していたとあるお笑い芸人が、「本人がよく眠れている、と言ってるのに、それは間違っているとか言うのは、単なる言いがかりではないのか」と発言していた。正にその通りと思う。そこにいた専門家の一人は、「よく寝れたと思っていても、昼間眠気がさしたり、車を運転していて眠気を感じる、という事があるのなら、それは睡眠が良くないからだ」と言っていたが、では、正しい睡眠であれば、絶対に昼間眠気を感じる事はないのか。昼間電車やバスで、年齢問わず、座って居眠りしている乗客を常に見かけるが、その人たちは全て睡眠が良くないのか。最近、昼寝の効用というのが見直されていて、作業効率をアップさせる為、毎日30分から1時間ほど全社員に昼寝の時間を設けている企業もある、と聞いたが、それは全社員が悪い睡眠という前提なのか。良い睡眠の人は、昼寝なんか出来ないから却って迷惑なのか。
言いがかりだと発言したお笑い芸人は、それ以上ツッコまなかったので、発展する事はなかったが、実際、特にテレビで、専門家と称する人たちが、常識の嘘を指摘する、みたいなノリで、要するに、他人(この場合、スタジオにいるタレント)のやってる事を全否定する、という企画が多く、僕は見る度に辟易している。お前ら素人は俺たち専門家の言う通りにしていれば、万事うまくいくのだ、文句言うな、という感じですな。明らかに体調不良とかを訴える人に対してならともかく、少なくとも自分では不具合を感じていない人に対してまで、お前が気づいていないだけでそれは間違っている、と言うのは、本当におせっかいというか言いがかりだ。素人が気づいていない問題に言及する優れた専門家、というイメージを作り上げて商売したいだけだろう、って気がする。何かあっても、どうせ責任は取らないくせにね。
似たような話という何というか、最近、60歳過ぎたらこういう事は止めましょう、その方が幸せになれますよ、という本というか雑誌を読んだ。ま、実際還暦なもんで(笑)そういうのって色々気になるのだ。で、読んでみると、この本の作者(というか編者)が言いたいことは、年なんだからストレスを感じる事は止めて、のんびりと余生を過ごしましょうよ、ということかと思われる。ま、それは分からなくもない。ただ、そういうコンセプトを意識しつつ読んでいくと、ちょっとヘンだなと感じる事も出てくる。
この本では、人間関係・健康・家族・財産・生活等々の項目に於いて、ストレス感じるから止めた方がいい、ということを列挙し解説していく。中には、うむなるほど、というのもあるが、読んでいくにつれ、この人は単なる面倒くさがり屋なのではないのか、すぼらで手抜きな性格なのではないか、人付き合いが苦手な偏屈な人ってだけではないの、なんて感じるのが続々と出てくる。祝ったり偲んだりする気持ちがあれば、結婚式や葬式に行く必要ないし墓参りもしません、とか、洗い物とか面倒だから料理はしません、とか、同じ理由で朝食なんていらない、とか、疲れるから掃除なんてしなくていい、年寄りの家なんて汚れないし、とか、風呂も浸かるだけでいい、体や髪を洗うのは数ヶ月に一回でいい、とか、誰かの為に何かしようなどと考えるな、とか、やや疑問を感じるのも多い。ま、人それぞれなんで、否定するつもりは毛頭ないのだが。
健康に気を遣うのはストレス溜まるからやめとけ、というのは、なんとなく理解出来るかな(笑) ただ、だから無理に禁酒・禁煙はしなくてもいいのだ、というとこまで行くとどうかな、と思ったりもする。確かに、禁酒・禁煙を強いられるのはイヤなんだけど。↑のように、健康寿命の為に○○しましょう、と専門家が押しつけてくるのに対抗してるような感じなんだろうか(笑) 腐れ縁の人間関係は絶つべき、というのも分かるけど、大抵の人は60歳ともなると、付き合いの長い友人なんて、数は限られてると思う。そういう人たちを切ってしまったら、僕なんて友人がいなくなってしまうので、絶対イヤだけど、そういう人間関係ですら面倒な人はいるのだろうね。掃除や料理もやめよう、なんてのを見ると、本当は家事が嫌いなのかな、という気もする。
お気づきのように、この本は女性目線で書かれている。主婦の立場に立ってみると、ここにある60歳過ぎたら止めた方がいいこと、というのにも納得がいく。年取ったら夫はいないもの、という前提みたいだし(笑) ま、こういうのは、あくまでも参考程度にしておけばいい、と思うのだが、100%影響されてしまう人もいるのだろうね。この本にある事を全部実践しようとすると、周囲とかなり軋轢を生むと思う。↑のテレビ番組の話もだけど、まず自分の考えをしっかりと持った上で、他人の意見を聞いてみる、という姿勢が大事だ。啓蒙されてるだけではダメだよ。今更だけど(笑)
で、ここでいきなり、最近買ったCDから(なんなんだ)
ブログネタにしたが、先月ユーミンのコンサートを見て以来、ちょっとユーミン・モードである(笑) 僕が一番ユーミンを聴いていたのは80年代なのだが、よくよく考えてみると、この時期のアルバムは2枚しか持っていない。当時、レコードは買わず、レンタル等で借りてきて録音して聴く、というのが主流だったもんで^^; で、当時のアルバムを色々入手して聴いてみよう、ってことで手始めに買ったのが、この『DA・DI・DA』である。1985年発表。
個人的には、一曲目の「もう愛は始まらない」が、とにかく好きだった。当時のプロモーションCMなどでは、この曲がフューチャーされていたのではなかったかな? 今聴いてもカッコいい。アレンジがとにかくいいね。ドラマティックな展開もいいし、クールな歌詞もいい。続く、打って変わって微笑ましいムードの「2人のストリート」も割と好きな曲。ベスト盤には欠かせない人気曲「シンデレラ・エキスプレス」「青春のリグレット」に続いて登場するラストの「たとえあなたが去って行っても」も、これまた感動的な名曲である。力強い歌詞が頼もしい。さすがユーミン。他の80年代のアルバムと比較すると、やや地味目かもしれないが、曲もアレンジも演奏もクォリティ高い傑作だ。
この頃(『DA・DI・DA』から『Delight Slight Light KISS』あたりまで)のユーミンって、非常に当時の気分とシンクロしてるような気がする。といっても、当時の世相とかいう意味ではなく、あくまでも僕個人の気分という意味なんだけどね(笑) あの頃はいわゆるバブルの時代で、世間は好景気に浮かれていたのだろうが、この当時僕は20代半ば、就職して2~3年の若造であり、バブルも何も分からず、ただひたすら仕事に励んでいたというより、早く仕事を覚えて一人前になろうとバタバタしていた、という感じ。失敗もしたし、落ち込んだ事も多い。ただ、どんな事があっても、悲観する事もなく、焦る事もなく、自覚はなかったけど前向きに過ごしていたような気がする。何故、前向きになれたのかと言うと、おそらくいつかきっと良い事がある、と思っていたからではないだろうか。今思うと恥ずかしくて顔も上げられないが(爆)、若さ故なのか、あの頃は自覚はしてないものの、漠然と未来は明るいような気がしていたような。もちろん根拠はないけど、いつかは良くなる、と。意識はしてないけど漠然とそういう気持ちがあったから、落ち込んでも何しても、暗くなることもなく過ごしていたのだろう。若いって、きっとそういうものなのだ(笑) 実際、30歳になる頃には現実が見えてきて、そんな気分ではなくなっていた気がする。
そんな若かった頃の気分に、この頃のユーミンがぴったりハマるのである。若かったなぁ、あの頃は(爆)
続いて、
今年に入ってから、また聴き始めたエブリシング・バット・ザ・ガール(EBTG)であるが、久々に新作が出たので買ってみた。なんと!!24年振りらしい。この間、ベン・ワットとトレイシー・ソーンの2人には、色々な事があったと思うが、この新作では、全くその長いブランクを感じさせない。というか、久々の新作というより逆に、24年前の作品です、と言われても違和感ない内容だ。古臭いとかいうのではなく。
24年振りという事で、現代のEBTGはどんなサウンドを提示するのか、興味津々だったが、聴いてみると、特に大きな変化はないような気がする。90年代半ば頃から取り入れ始めたエレクトリック風のバックトラックは今回も継続しているし、ストイックな音作りも変わらない。トレイシー・ソーンの歌も年齢を重ねた雰囲気こそあるが、元々明るく華やかな声質の人ではないので、こちらもあまり違和感ない。包み込むような雰囲気は相変わらずだし、EBTGらしいメロディラインも健在。つまり、特に文句はないのだが、反面、EBTGだけに、あまりの変化の無さが、ちょっと物足りない。ベン・ワットは、活動休止中に、ディープ・サウスと呼ばれるダンス系の世界で活動していたらしいが、そういうエッセンスも少しでいいから、加えて欲しかったな、と思ったりするのであります。