MFCオーナーの私的歴代最高のアルバム500選
20位→1位
ついにやって参りました、ファイナルです(笑)
☆20位☆
Abbey Road/The Beatles (1969)
アビー・ロード/ビートルズ
ビートルズ史上いやロック史上最も有名なジャケットで知られる、偉大なるビートルズの最終作であり最高傑作でもある。メンバー全員が全曲の演奏に参加すること、という条件で制作された本作は、4人がソングライターとして拮抗した初のアルバムとなった。メロディック且つアバンギャルドな名曲たち、そしてシンフォニックなB面のメドレーに至るスリリングな展開、どれをとっても完璧。ビートルズは凄い。
☆19位☆
Tuesday Night Music Club/Sheryl Crow (1993)
チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ/シェリル・クロウ
毎週火曜日の夜、プロデューサーのビル・ボットレルの家で行われたセッションがベースとなった、シェリル・クロウの記念すべきデビュー・アルバム。カントリー、フォーク、ブルースといったルーツ・ミュージックをベースに90年代らしい解釈も加えたアメリカン・ロックの名盤であり、1stにしてシェリルの最高傑作でもある。サウンドだけでなく短編小説のような歌詞も素晴らしい。
☆18位☆
The Lexicon Of Love/ABC (1982)
ルック・オブ・ラブ/ABC
ニューロマンティックのムーブメントから登場したABCは、このデビュー・アルバムでドラマティックで華やかな80’s風グラム・ロックを提示した。ストリングスのイントロからドラマティックに展開される「Show Me」、音もPVもシアトリカルな名曲「Poison Arrow」、ゴージャスなラブソング「All Of My Heart」そして今でもディスコ・クラシックな「The Look Of Love」等々、どの曲も素晴らしい。名盤である。
☆17位☆
Franke & The Knockouts/Franke & The Knockouts (1981)
スイートハート/フランキー&ザ・ノックアウツ
弱小レーベルからデビューしたフランキー&ザ・ノックアウツは、ほとんど無名だったが、完成度の高い本デビュー・アルバムが証明するように、ボーカルも演奏もソング・ライティングも実力派のバンドだった。あまりルーツ的な物を感じさせない、産業ロック風の感触のサウンドだが、全米TOP10ヒットとなった「スイートハート」に代表されるように、タイトでメロディックで聴く者を虜にせずにはおかない。
☆16位☆
Foreigner/Froeigner (1977)
栄光の旅立ち/フォリナー
フォリナーの登場は正に”衝撃”だった。実績あるベテランと無名だが実力派による混成のバンドは本デビュー作にて「衝撃のファースト・タイム」「冷たいお前」といったキャッチーなヒット曲に加え、プログレ風味もある「スターライダー」「人生は闘い」、分かりやすいハードロック「ヘッドノッカー」、珠玉のメロディが光る「ウーマン・オー・ウーマン」「お前に夢中」など名曲連発で我々を魅了した。
☆15位☆
Black And Blue/Rolling Stones (1976)
ブラック・アンド・ブルー/ローリング・ストーンズ
自分にとってのストーンズは、本作に尽きる。他の作品たちとやや違う雰囲気もあるせいか、あまり本作がクローズアップされる事もないし、本作収録曲がライブで演奏される事もない。しかし、「ホット・スタッフ」で始まる本作は正に衝撃の一枚だ。ギタリストのオーディションとレコーディングセッションが同時に進められ、混沌とした内容ではあるが、ストーンズの全アルバム中最もファンキーでブルージーな作品と言える。
☆14位☆
Rocks/Aerosmith (1976)
ロックス/エアロスミス
1976年の夏は本作のおかげでクレイジーな夏だった。完成度という点では前作の方が上だが、本作の持つ得体の知れないパワーと勢いは、有無を言わせず我々をその世界に引きずり込んだ。「バック・イン・ザ・サドル」の衝撃は永遠、「ラスト・チャイルド」「地下室のドブねずみ」「シック・アズ・ア・ドッグ」といった曲の混沌とした魅力、そしてラストを飾る名曲「ホーム・トゥナイト」の素晴らしさ。不滅の名盤である。
☆13位☆
Dressed To Kill/Kiss (1975)
地獄への接吻/キッス
70年代半ば、クイーン・キッス・エアロスミスの3バンドは、間違いなくロックに新しい概念を持ち込み、今までになかった聴衆を開拓した。本作はキッスの3枚目、代表曲「ロックンロール・オール・ナイト」が収録されているが、それ以外にも「ルーム・サービス」「激しい愛を」「彼女」といったキャッチーな名曲もあり、キッス流エンタテインメントが完成された歴史的なアルバムである。ジャケットも素晴らしい。名盤。
☆12位☆
Blow By Blow/Jeff Beck (1975)
ギター殺人者の凱旋/ジェフ・ベック
全曲インストの本作は、当時勃興していたクロスオーバー的方法論で作られ、これ以降のベックの方向性を変えた。と同時に、ロック畑のミュージシャンだけでこういうアルバムを作ってしまった事自体が衝撃でもある。ロックの新たな歴史が始まったと言ってもいい。ギターだけでなく、バンドとしての強固なアンサンプルで聴かせているので、何年経過しても色褪せる事はなく、いつ聴いても最初の衝撃が蘇るという凄いアルバム。
☆11位☆
Extra Texture/George Harrison (1975)
ジョージ・ハリスン帝国/ジョージ・ハリスン
どことなくセンチメンタルな雰囲気に支配されたアルバムだが、「答えは最後に」「悲しみの世界」といった隠れた名曲も多く、ジョージ本来の持ち味が十分堪能出来る名盤。今後も本作が評価される事はなく、代表作と呼ばれる日も来ないだろうが、それだけに僕は本作に愛着を感じるのである。オープニングの「二人はアイ・ラブ・ユー」ラストの「主人公レッグス」、雰囲気の違う2曲が本作を特別なものにしている。
☆10位☆
Come Taste The Band/Deep Purple (1975)
カム・テイスト・ザ・バンド/ディープ・パープル
個性の強い看板プレイヤーの後釜に入って、自身のカラーを打ち出していくのは並大抵の事ではないと思うが、トミー・ボーリンはそれを2度もやってしまった。やはり並のミュージシャンではない。そのボーリン、そしてカバーデイルとヒューズが主導権を握った本作は、リッチーの幻影を葬り去り、新たなるパープルの誕生を告げる名盤となった。今までのイメージと違い、ファンキーで多彩なリズムに満ちている。
☆9位☆
Sheer Heart Attack/Queen (1974)
シアー・ハート・アタック/クイーン
恐るべき新時代の旗手は、3作目となる本作でヒートルズ直系のポップ・センスを加えて、ブリティッシュ・ロックの伝統を守りながらも、新たなエンタテインメントを構築した。永遠の名曲「キラー・クイーン」を頂点に、絶妙なアルバム構成もあり、ハードロックを基本としつつも、その枠に収まりきらない多彩なクイーン・ワールドが展開される名盤である。クイーンは着実に新たな扉を開いていた。
☆8位☆
The Dark Side Of The Moon/Pink Floyd (1973)
狂気/ピンク・フロイド
ロック史上に燦然と輝く問答無用の大ベスト・セラーであり名盤である。コンセプト・歌詞・楽曲・アレンジ・編集・演奏・録音、全てが最高の状態で結実し、奇跡としか言いようのないアルバムを生み出した。フロイドも凄いが、裏で何か抗いがたい力が働いていたのでは、と勘ぐってしまうくらい、正に神懸かりである。特にB面の狂おしいまでの美しさは筆舌に尽くしがたい。
☆7位☆
The Miracle/Queen (1989)
ザ・ミラクル/クイーン
喧噪と華奢にまみれた80年代を乗り切り、来るべき90年代に向けて、クイーンは新たなる方向性を打ち出した。それが本作であり、そこには今までのクイーンは微塵もなく、楽曲にも演奏にもプロデュースにも、新たな道を指し示すクイーンの姿があった。常に前進し続けるロックバンドとしてのクイーンの矜持である。しかし、それを理解したファンは残念ながら少なく、本作の評価も高くない。悲劇の名盤である。
☆6位☆
The Wild Heart/Stevie Nicks (1983)
ワイルド・ハート/スティービー・ニックス
スティービーのソロ2作目は、正に魔女か小悪魔かそれとも天使か、とにかくひたすら彼女の魅力全開の名盤である。イメージだけでなく、ヒットした「Stand Back」はじめ収録曲の出来も良いし、うっすらと霞がかかったような音も雰囲気たっぷりで素晴らしい。「If Anyone Falls」「Nightbirds」「Sable On Blonde」そして「Beauty And The Beast」...もう抗えない、スティービーの虜になるしかないのである。
☆5位☆
Head Games/Foreigner (1979)
ヘッド・ゲームス/フォリナー
大ヒットした2作に続くフォリナーのサード・アルバムは、ロイ・トーマス・ベイカーをプロデューサーに迎え、よりハードに迫る一作となった。ドラムが大きくミックスされ、サウンドもタイトである。ルー・グラムのボーカルも艶っぽさを増した。「女たち」「17」「レブ・オン・ザ・レッド・ライン」あたりでは新境地を示している。不思議な雰囲気の「灰色の別れ」はイアン・マクドナルドの面目躍如。
☆4位☆
Disolation Angels/Bad Company (1979)
ディソレーション・エンジェル/バッド・カンパニー
デビュー以来、アルバム毎にアメリカ音楽へのアプローチを強めていたバドカンだが、本作でそのアメリカ志向はかなり高いレベルまで到達した。思惑通り、アメリカではベスト・セラーとなり、新たなバドカンの代表作となった。正に定番曲となった「Rock 'N' Roll Fantasy」はもちろん、「Crazy Circles」「Take The Time」「She Brings Me Love」あたりで、アメリカ音楽を彼らなりに咀嚼したロックが堪能出来る名盤である。
☆3位☆
Double Vision/Foreigner (1978)
ダブル・ビジョン/フォリナー
1stに続いて2ndもベストセラーとなり、フォリナーは名実共にアメリカン・ロックのトップに立った。「Hot Blooded」「Double Vision」といったハードなナンバーのなんとカッコ良かったことか。何回聴いたか分からない。哀愁の「Blue Morning Blue Day」や「You're All I Am」「Back Where You Belong」「Love Has Taken Its Toll」といった隠れた名曲たち、ミステリアスなインスト「Tramontane」といった曲もフォリナーの可能性を証明している。
☆2位☆
News Of The World/Queen (1977)
世界に捧ぐ/クイーン
デビュー以来の路線で一時代を築いたクイーンだが、やや行き詰まりを感じると、本作で大胆な方向転換を図った。クイーンが本当に凄いのはここからで、ロジャーやジョンの個性を前面に出す等、今までとは違ったアプローチにより、今や全世界のアンセムとなった「We Will Rock You」「We Are The Champions」を送り出し、新たなクイーンの姿を世に問うた名盤をモノにしたのである。本作がなければ、その後のクイーンはなかったかも。
☆1位☆
A Night At The Opera/Queen (1975)
オペラ座の夜/クイーン
本作こそ、クイーンはもとより、70年代英国ロックが誇るべき名盤である。ロックが登場してから、その表現領域を拡大し、エンタテインメントのひとつとして認識され始めた時代の空気をクイーンは体現していた。多様な音楽性、豊富なアイデア、高い作曲能力と演奏技術、その全てが本作で非常に高いレベルで結実している。それらを駆使して、クイーンは名盤を作り上げたのだ。制作期間が短かった割には完成度が高く、いかにクイーンが充実していたか、そしていかに時代の空気が優れたロック作品を生み出す方向に動いていたか、を如実に物語っている。不穏なピアノのアルペジオに導かれて始まるA面の素晴らしさといったらどうだ。短めの曲を並べた構成が実に見事である。ハイライトはB面の「予言者の歌」から「ラブ・オブ・マイ・ライフ」への実にプログレッシブな展開であろう。そして至高の名曲「ボヘミアン・ラプソディ」から「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」で幕を閉じる感動のクロージング。素晴らしいとしか言葉がない。本作は正に時空を超えた名盤である。
という訳で、構想から足かけ2年、ついにMFCオーナーの私的歴代最高のアルバム500選、完結するに至りました。長い間見守って下さいまして(ないない)ありがとうございます。発表はしてましたが、やっぱり1位は『オペラ座の夜』でした。振り返ると、どうしてもこれになってしまいます(笑)
次回は『総括』となります。お楽しみに(いねーよ)