先日当ブログでも予告した通り(笑)、再び冷え込んできた3月20日春分の日に、角松敏生のコンサートに行ってきた。場所はお馴染み(文句ばっか言ってるけど^^;)ウェルシティ大阪厚生年金会館である。
余談だが、この厚生年金会館、あと2年でなくなってしまうそうだ。あれこれ不満のあるホールであるが、大阪市内の3000人規模のホールは、こことフェスティバルホールくらいしかないので(しかも、フェスティバルホールもビル建て替えの為、もうすぐ休業するらしい)、なくなってしまうと、国内外を問わず、中堅クラスのミュージシャンのコンサートを見る事が出来なくなってしまう。これは問題だ。今後は、名古屋飛ばしならぬ大阪飛ばしが当たり前となるのだろうか。
で、角松敏生である。この人を知らない人は意外と多い。確かに、有名なヒット曲がある訳ではないし、テレビにもあまり出なかったから、80年代には結構人気あったといっても、広く知られている訳ではないのだろう。僕だって、角松ファンの友人がいたから、LPを聴かせて貰ったりしたけど、そうでなければ、名前は知ってる、程度で終わっていたかもしれない。
という訳であるので、角松敏生を知らない方はこちらを参照下さい。特にファンでもない僕が、あれこれ説明しても仕方ないので(笑)
さて、その肝心のコンサートであるが、僕も彼の曲をそれほどよく知ってる訳でもなく^^;、予想はしていたけど、演奏された曲は一曲を除いて初めて聴くものばかりだった(と思う)。よって、セットリストを載せたくても出来ない。ネットで拾ってこようとしたが、見当たらなかったので、今回セットリストは無しという事でご勘弁を^^;
角松といえば、1980年代初頭にデビュー、オシャレ系シティポップスというかAORというか、サーファーとかクリスタル族(古い言葉だ)御用達のミュージシャンであり、サウンドのイメージとしては『For You』までの山下達郎に近い。ま、達郎よりオシャレ度は上だったけど。なにせ、デビュー・アルバムのタイトルが『Sea Breeze』だもんね(笑) 角松自身のイメージというか、どのように売り出そうとしていたか、というのがよく分かる(笑)
で、僕自身は、当時その手の音楽を否定していたので(えらそーに)、角松のアルバムを何枚か聴いた事あるとはいえ、あまり印象に残ってない、というのが正直な所。が、印象にないとはいうものの、角松というと、どうしてもその頃の“オシャレ”“サーファー”“ワンレン・ボディコンOL”“カフェバー”“赤坂・西麻布”みたいなイメージが強くて(笑)、角松本人は90年代に入って一旦音楽活動を休止したり等の変動があったにもかかわらず、今回のコンサートもそういう内容になるのか、と思っていた。が、始まってみると若干違っていた。
オープニングはもちろん知らない曲だったが、“オシャレ”系ではない、フツーのポップス。2曲目も割に新しい曲みたいだけど、こちらはシンコペーションビシバシの、昔のファンク系AORって感じ。こういう曲の方が角松らしく思えて、ホッとしたりする(笑) 2曲演奏した後に、軽く挨拶をして、そのまま次の曲になだれ込む。昔のイメージと違う曲もそうでない曲もあったけど、どれもポップスとしては非常に完成度が高い。最初の5曲ほどで、角松ってやるなぁ、って思ってしまった(えらそーに・ぱーとつー)。
ここで触れておきたいのが、今回のツアーに同行しているバックアップ・ミュージシャンたちである。これが、なかなかの顔ぶれなのだ。紹介させて頂くと、
江口信夫(Dr)
松原秀樹(B)
今剛(Gtr)
小林信吾(Key)
友成好宏(Key)
森俊之(Key)
大儀見元(Per)
チアキ(Cho)
凡子(Cho)
これだけ揃えると、かなりギャラ高そうだ(笑) しかし、角松は昔から、腕利きのミュージシャンを集めてライブをする事で知られており(YouTubeなどで、80年代の、大人数のバンドを従えたゴージャスなライブ映像が見れます)、その演奏のクォリティの高さは、よく知らない僕でも聞いていたくらいであって、つまり今でも20年前と変わらぬ精神で、角松はコンサート活動をしているのだ。上記のメンバーの大半は、昔から一緒にやっている人たちだそうだが、実に見事な、正にプロ!ってな感じの演奏であった。それにしても、今剛の生演奏が聴けるとは...やっぱ、上手いです、この人。途中ペダルスティールも弾いてたなぁ。
また、角松はコンサートの間中何度もメンバー紹介をしていた。フツーは一回か二回くらいなんだけどね。あれだけメンバー紹介されたら、観客も全員の名前を覚えてしまうだろうってくらい。それだけ、角松自身も、自分の音楽活動には、こういったミュージシャンたちのバックアップが必要不可欠と感じていて、常に彼らに感謝しているのだろう。角松、外見に似合わず、なかなかいいヤツである(えらそーに・ぱーとすりー)
数曲演奏してから、コーラスの女性二人をフロントに連れてきて、お喋りさせる、なんて趣向もあった。要するに、ネタを披露させる訳で、二人とも面白い人だと思うけど、今回のネタはオチが今ひとつという感じ。よそではともかく、大阪でやるなら、もっと練ってこないと(爆)
この女性二人も、実は自身の活動もしている人たちで、凡子は沖縄で活動するシンガーだそうで、地元では月一回ライブを行い、評判になっている人らしいが、本土ではまだ一度もライブした事がないらしい。チアキは“シャカリ”というバンドのボーカルだそうで、結成10周年を迎えたそうな。どちらも実力派なのだ。歌もさることながら、振り付けもなかなか良かったです(笑)
また、“角松ブートキャンプ”と銘打ち、とある曲のオープニングにエクササイズをやってたのは、なかなかに楽しくて良かった。コーラスの女性がエクササイズをしたまま曲になだれ込んでいくのもカッコいい。で、その曲(調べたら、My Sugarという曲らしいが)の途中で、いきなり上からパネルが降りてきて、そこには“職人気質”の四文字が。聞くところによると、各地で毎回違う四文字熟語が出てくるらしい。なんとなく、昔、聖飢魔Ⅱのコンサートで、ベースソロのあとゼノン和尚が筆で“箸休め”と大書したのを思い出してしまった(笑) あ、この未確認だけど「My Sugar」という曲、ファンキーで実にカッコいい曲だった。
アンコール前のラスト3~4曲は、この曲をはじめ、ファンキーもしくはダンサブルな曲が続き、バンドも会場も非常によくノッていた。こういう曲の方が、なんだかんだ言っても角松らしいな、という気がする。やや内省的なシンガーソングライターっぽい曲、言うなれば、ここ10年くらいの山下達郎みたいな曲をやっても、なんか似合わない感じがするのだ。かつては、そのオシャレ言い換えると軽薄なイメージに馴染めなかった角松だけど、今にして思うと、そっちの方が彼らしいのではなかろうか。これ、正直な感想です(笑)
と、あれこれ趣向をこらしつつ、コンサートは進んでいく。あまりインターバルを取ることなく、歌い続ける角松に脱帽。ラストも盛り上げて、コンサートは一旦終了し、ふと時計を見ると、21時近くになっている。開演が18時だったから、本編だけで3時間近かったという事になる。精力的だなぁ。でも、後で聞いたら、角松のコンサートは長いので有名らしい。知らなかった。しかし、アンコールを求める拍手が続く中、ステージには誰も出てこない。フツーのパターンよりは長いような。しかし、これには意味があったらしい。その間、周囲の観客たちが何やらゴソゴソしてるのに、僕は気づくべきだったのだ。
ようやく、メンバーたちがステージに登場する。この時も角松は、一人一人紹介していた。そして、始まったアンコール一曲目、これは知ってた「Take You To The Sky High」、彼の3rdアルバム『On The City Shore』の収録曲で、テレビCMでも流れていた曲だ。おお、やっと知ってる曲、と安心してたら驚くべき展開に。なんと、サビの所で観客が一斉に紙飛行機を飛ばしたのだ! 噂には聞いてた角松コンサートのお約束。アンコール前に、皆がゴソゴソやってたのは、入場時に配られるチラシで紙飛行機を作っていたのだった! 迂闊だった、もっと周囲に気を配っていれば(笑) これは是非とも参加しなければ、と思い、慌てて紙飛行機を折って、なんとか一緒に飛ばす事が出来た(爆) 良かった(爆爆) ただ、ちゃんと折る余裕がなかったので、いい加減な紙飛行機だったから、投げたらすぐお辞儀してしまったけどね(自爆)
しかし、ホールの中を紙飛行機が乱舞する光景は、なかなかに見ものである。「Take You To The Sky High」が終わった時には、ステージ上は紙飛行機の山(笑) メンバーたちも、演奏しながら飛んできた紙飛行機を拾って投げ返したりして、実に壮観かつ楽しい眺めだった。
この曲を含め、アンコールで3曲演奏し、今度こそおしまい。場内の灯りがつき、「本日の出し物は全て終了しました」てなアナウンスが流れるが、驚いた事に誰も帰ろうとしない。なんか、皆が帰らないので、僕も帰りづらくて、そのまま席にいると、いきなり場内が暗転。なんと2度目のアンコールである。いや、まさか、2度もやるとは思わなんだ。ここで、角松はほとんど弾き語りみたいな感じで2曲歌い、今度こそ本当にコンサートが終わった。時計を見ると、21時半。実に3時間半の長丁場。角松敏生及びバンドメンバーの体力・サービス精神に脱帽。マジ、素晴らしいコンサートだった。僕自身の、角松敏生に対する印象も、確実に変わった夜だった(爆)
角松自身が、MCでも何回か触れていたが、前回のツアーでは大阪と名古屋は6割程度の入りだったらしい。その時は、本人も自信をなくして、京浜地区だけで活動する事にしようか、なんて思ったりもしたらしいが、今回厚生年金会館はほぼ満員だった。リベンジ達成だ。良かったね(えらそーに・ぱーとふぉー)
という訳で、長々と書いてきた角松敏生コンサートレポ、最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。あれこれ言ってるけど、演奏も進行も照明も実にハイレベルなライブであったのは確かだ。角松大したもんだ(えらそーに・ぱーとふぁいぶ)。しかし、バックアップミュージシャンも豪華だし、機材も高そうだったし、照明も凝ってたし、かなり金かかってるコンサートだったと感じた。一体、これらにかかる経費を引くと、角松にはいくら残るのだろう? なんて、つまらん事を考えつつ、家路についたのであった。もちろん、一杯飲んで午前様だったけどね(爆)
久々に、プロらしいコンサートを見たという感じ。お疲れさまでした。