日々の覚書

MFCオーナーのブログ

グッド・フィーリン

2025年04月07日 22時29分12秒 | 音楽ネタ
以前、僕の携帯に特殊詐欺の電話がかかってきた一件は、当ブログでもネタにしたが、最近、またかかってきたので、皆さんに報告します(笑)

今回は、もちろんというか何というか、かけてきたのは前の時とは違う人だった(笑) もっと若いかな。今回は、警視庁の者と名乗って、宮崎県警から照会があったので○○さん(僕の本名)に確認の電話をさせて頂きました、と話を切り出した。で、詳しくは言わないけど、僕が犯罪に関与してる可能性がある、ついては宮崎県警に今すぐ来れるか、と言うので、「無理です」と答えると、「あなたは犯罪に関与している可能性があります。それでも来ないのですか。ならば、詳細を説明しますが、時間はありますか?」と畳みかけてくる。で、僕は「今ちょっと忙しいです。1分くらいで済みますか?」と聞いたら「1分では無理です。ならば、あとで都合良い時間に連絡します。何時ならいいですか?」と言うので、「じゃ、5時頃なら」と返すと、相手は何も言わずに電話を切った。失礼な奴だ(笑) もちろん、5時になっても電話はかかってこなかった(爆)

2回目だと、少し落ち着いて対応出来たかな(爆)

閑話休題。

唐突だが、最近買ったCDから。



最近、とある事がきっかけでポコを聴いてみようと思い立ち、色々調べたのだが、意外とポコって入手が難しい。超メジャー或いは超マイナーなら比較的簡単に入手できるけど、中間のそこそこメジャー、というクラスが実は最も入手が難しい、というのを当ブログでも何度も書いているが、ポコもそれに当てはまるようだ。が、そんな矢先、ソニーの「発掘!洋楽隠れ名盤 Hidden Gems in 60/70s」という再発企画の中に、ポコの『グッド・フィーリン』を見つけたので、喜び勇んでポチッとしたのであった(笑) ソニーさん、ありがとうございます。2弾3弾企画もお待ちしてます(笑)

ここで一応、このブログを見て下さっている若い人たちの為に、ポコについて簡単に説明させて頂く。ポコはアメリカのバンドで、1969年デビュー。結成時のメンバーは、リッチー・フューレイ(元バッファロー・スプリングフィールド)、ジム・メッシーナ(後に、ケニー・ロギンスとロギンス&メッシーナを結成)、ランディ・マイズナー(ご存知、後にイーグルスに加入)、ラスティ・ヤング、ジョージ・グランサム、の5人。デビュー・アルバム『Pickin' Up The Pieces』をレコーディング後ランディ・マイズナーが脱退、後任としてティモシー・B・シユミットが加入。その後、ジム・メッシーナ脱退→ポール・コットン加入を経ての通算5作目が、この『グッド・フィーリン』である。

『グッド・フィーリン』の後、もう一枚アルバム作ってリッチー・フューレイが脱退、ポコはラスティ・ヤング、ポール・コットン、ジョージ・グランサム、ティモシー・B・シュミットの4人で活動を続けて、『シマロンの薔薇』『インディアン・サマー』といったアルバムを発表するが、1977年にティモシー・B・シュミットがイーグルスに加入する事になり(脱退したランディ・マイズナーの後任。歴史は繰り返す)、バンドの存続が危ぶまれたものの、ポール・コットンとラスティ・ヤングを中心に1978年に『伝説』を発表、これがポコ最大のヒットとなった。実は僕も今まで『伝説』しか聴いた事なかった^^; が、この『伝説』名盤である。

その後解散状態になるが、1989年に再結成アルバム『Legacy』を発表、以後現在に至るまで活動を続けているが、2021年にラスティ・ヤングが亡くなって、現メンバーでオリジナル・メンバーどころか、かつての主要メンバーもいなくなってしまった。

という訳で、前説が長くなってしまったが(笑)、ようやく『グッド・フィーリン』である。前述した通り、ポコの通算5作目で1972年発表。もちろん僕は知らなかったけど、この時期ポコは非常にビミョーな状況にあったようで、中心人物のリッチー・フューレイからすると、ポコが今一つメジャーになり切れない間に、かつての仲間たち、すなわち、スティーブン・スティルス、ニール・ヤング、ランディ・マイズナー、ジム・メッシーナあたりは成功を収め、大きく水を開けられてしまったという訳で、かなり焦っていたのでは、という話だ。で、その局面を打開すべく、気合入れてこの『グッド・フィーリン』を作ったものの、思ったほど売れず、フューレイは非常にショックを受け、次作『Crazy Eyes』を最後に脱退してしまう訳だ。やはり、かなりの自信作だったのだろう。結果が出ないとショック大きいよな。

ただ、初めて聴いてみた『グッド・フィーリン』だけど、実に良いアルバムと思う。ポコをカントリー・ロックとかウエスト・コーストとかに分類していいのかどうか、よく分からんけど、本作で聴ける音は正しくアメリカン・ロックである。個人的には、こういう感じ好きだな。ロックンロール風だったりカントリー風だったりブルース風だったり、そんなアーシーな雰囲気の曲たちが交互に登場して、またそれぞれ曲の出来も良いし、実に楽しめるアルバムだ。洗練というより、ややいなたさを感じさせる演奏もいいと思う。ラストの「スイート・ラビン」は、イントロがパイプ・オルガンの讃美歌風で、当時のファンにはあまり評判良くなかったらしいが、これはこれで良いんじゃないのと思うけどね。

ただ、例のランディ・マイズナーとティモシー・B・シュミットのいきさつもあって、良くない事とは思いつつ、ついイーグルスと比較してしまうのだが、そうなると、やはりキャッチーさに欠ける気がする。ポコがイーグルスと比べて作曲能力が劣っているなんて事は全然ないのだが、アルバムとして聴くと、やはり曲ごとの印象度が弱い感じがするのだ。フックが効いてないというか、ここでちょっとサビがあれば印象違うのに、なんて思ったりもして。こうしてみると、グレン・フライとドン・ヘンリーのコンビって、実は凄かったんだな、と思ってしまう。ほんと、ちょっとした事ではないのかという気がするけど、そのちよっとした事が明暗を分けてる感もある。惜しいなぁ。

とはいうものの、良いアルバムなのは確かだと思う。何度も言ってるけど、曲も良いし。個人的には、「ライド・ザ・カントリー」「キーパー・オブ・ザ・ファイア」「アーリー・タイムス」「リストレイン」あたりが好きだな。一度聴いてのインパクトは少々弱いかもしれないが、聴けば聴くほど良さがにじみ出てくるアルバムではなかろうか。ハーモニーも良いしね。

ポコについては、次は、ラスティ・ヤング、ポール・コットン、ティモシー・B・シュミット、ジョージ・グランサムの4人で活動してた時期のアルバムを聴いてみたい。聞く話によると、この時期は、作品の質が安定していて、佳作が多いそうな。入手困難ではあるけれど(笑)
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サムライ

2025年04月06日 16時24分47秒 | 音楽ネタ
最近気づいたのだが、会社で使っているメールソフト(Outlook)で、午後5時過ぎてからメールしようとすると、”時間外です”というメッセージと共に、”明日8時以降で送信時間設定”というのが表示される。もしかすると、例の兵庫県知事のパワハラ騒動問題で、「休日夜間問わず、携帯メールやメッセージ、ラインなどで業務に関する問い合わせや指示が頻繁にある」というのも第三者委員会がパワハラと認定したが、それの影響だろうか。定時過ぎたら仕事のメール送信には神経を使いましょう、という事なのかな。

正直言うと、そういうの気にした事なくて、電話とかなら、こんな時間にかけると迷惑だよな、とか気にするけど、Eメールは登場した頃から、時間を気にせずメッセージを送る事が出来る、というのがメリットみたいに言われてた事もあり、はっきり言って送信する時間を気にした事はない。基本的に、僕自身はメールした後に電話する、なんて面倒な事はしないし、すぐに返信しろとか要求する気もない。忘れるとマズいんで、こっちは今送信してるけど、返信は次に出社した時でいいからね、みたいな暗黙の了解もあると思っている。余程の事がない限り、休日にスマホに連絡する事は、ほとんどないしね。それに、こちらは休みでも、顧客は夜勤の人もいるし日曜出勤の人もいる、そういう人たちから夜間や休日にメールが届く、なんてのは日常茶飯事であり、すぐ返信しろなんて言われた事もないし、もろちんパワハラとかカスハラとか思った事もない。ま、そんなもんです(意味不明) 

21世紀の今、色々な事が便利になったけど、反面、面倒な事も多くなったよな、という気がする。

という訳で、最近買ったCDから(唐突)




いきなりジュリーである(笑) 僕は元々、ジュリーこと沢田研二のファンだったけど、アルバムはちゃんと聞いた事なくて、もしかすると今回が初めてかも。すみませんm(_ _)m。で、何故今沢田研二なのか、というと、近頃人気のシティ・ポップもそうだけど、洋楽みたいだけどそうでもない、日本独特の音楽というのは他にもあって、そういった音楽に敢えて呼び名をつけるとしたら、なんだかんだで歌謡曲、というのが一番ふさわしいって事になるのではなかろうか、なんて事を最近考えるようになって、いしだあゆみが亡くなった時も思ったし、かなり前だけど、テレビでテレサ・テンの生前のライブを放送してるのを偶然見た時にも感じてた。テレサ・テンの場合、ライブでは往年のヒット曲の他、AORやR&Bの影響下にはあるけど洋楽のコピーではない、というタイプの曲も数曲披露していて、これこそが歌謡曲なのではないか、特に70年代から80年代にかけての流行歌は、今とは違う独特の日本の音楽が溢れていたのでは、そしてその代表格が沢田研二と山口百恵なのではないか、とあれこれ勝手に考えていたら、当時のジュリーが聴きたくなってしまったという次第(長い)

という訳で、まず聴いてみたのが本作。1977年発表だが1977年と言えば、なんだかんだで「勝手にしやがれ」がレコード大賞を受賞した年であり、すなわち沢田研二の黄金期のピーク或いはピークのスタートでもあった年である。そんな年に出たこのアルバム、全曲作詞・阿久悠、作曲・大野克夫、編曲・船山基紀のゴールデン・トリオによるもので、「勝手にしやがれ」はもちろん「さよならをいう気もない」「憎みきれないろくでなし」といったシングル曲も収録され、正にあの頃の歌謡曲、演歌ともロックともポップスとも言い難い、けど、それらの要素は巧みに配合されているけど違う音楽、に溢れているのだ。ほんと、今では聴けない音楽と言っていい。J-POPという言葉(音楽)が誕生する10年以上も前の音楽だが、これが実に素晴らしいのである。今さらだけど^^;

本作の特徴としては、その独特の歌謡曲サウンドもだが、何と言っても、その歌詞世界だろう。アルバム・タイトルにもあるように、全曲を通してのテーマは「キザ」なのだろうが、要するに「男のカッコつけ。やせ我慢。強がり。照れ隠し」みたいなものと思う(タイトル曲とラストの「ママ...」はちょっと違うかも)。特にそれが表われているのが「サムライ」だろう。アルバムとは違うシングル・バージョンが後にヒットしたが、まぁ、凄い歌詞ではある(笑) この曲がヒットした頃、僕はまだ中学生で、この「サムライ」はそれほど好きではなかったが、それでも、男の強がりを歌ってるというのは伝わってきた。中学生だったけど、その辺は響いてたな。木枯らしが吹きすさぶ中、わざわざ出ていかなくてもいいじゃん、と思うかもしれないが、それが男ってものなのだ。こういう男の心情を”サムライ”と表現した阿久悠は、ほんと凄い。 「勝手にしやがれ」だって、照れ隠しだと思う。「愛というのに照れてただけだよ」とか「戻る気になりゃいつでもおいでよ」とかいう言葉を、正面から言えなくて、結局ベッドで背中を向けてたりするのだ。何故、この当時、阿久悠がこういったテーマをジュリーに歌わせたかったのかは不明だが、ジュリーしか歌えない歌詞に大野克夫が極上のメロディをつけて、そして何よりも歌うジュリーが素晴らしい。ひとりの作詞家のコンセプトに基づいて、アルバムを作る、という発想も実にプログレッシブだし、そこいらも含めて、ほんと、70年代の日本の歌謡曲の素晴らしさを実感する傑作と思う。今さらだけど^^;

続いては、




1988年発表。明菜絶頂期の作品であり、当然というか何というか、素晴らしい内容である。ま、ほんと、この頃の明菜は絶好調だった。翌年のあの不幸な事件さえ起きなければ.....

アルバムとしては、今回もシングル曲は収録されず、統一感のあるアーティスティックな世界で、全体的にダンサブルな感じかな。確か、レコーディングもLAかどこかで行ったはずだが、今回買った再発CDには、そこいらのクレジットがない。決してダンス・ミュージックではないけど。打ち込みを主体としたダンサブルなサウンドと明菜は意外と相性がいい、というか、そういう音でも明菜が自分の方に引き込んでしまってる感じ。無理をしてる雰囲気が全くない。やっぱり凄いな、明菜は。この頃のヒットというと「TATTOO」が印象深いが、やや退廃的ながらもハイパーな「TATTOO」を歌いながら、こんなダンス・ポップ的なアルバムを作っていたという多角的な展開も、実にアーティスティックだ。

80年代アイドルの代表格みたいに言われている明菜だが、90年代に入り、歌謡曲の在り方も変わって、アイドル歌手たちも新たな活動・表現を模索して歌を歌う事を止める人も現れる中、明菜と松田聖子の2人は、自分は歌手で食っていきます、という姿勢を明確にして、歌手としての活動を続けていった。そんな”歌手”中森明菜のキャリアの中でも、本作は重要作と言っていいと思う。前述したけど、歌手としての多面性を象徴するアルバムであるからだ。ダンサブルではあるが、なんとなくアンニュイな雰囲気もあるので、やや気怠い休日のお昼時なんかにピッタリかと存じます(笑)
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Brand-New Menu

2025年03月09日 20時38分42秒 | 音楽ネタ

既に40年も昔になってしまった80年代だが、この頃の特色は色々あるけど、12インチシングルの時代でもあったと思う。僕も当時、何枚か12インチシングルを買ってたけど、今見てみるとレアなものもあるし、意外なものもあったりして面白い。眺めてるだけで楽しいな(笑)

という訳でPSY・Sである。断るまでもないが「サイズ」と読む。松浦雅也(Key)と安則"Chaka"まみ(Vo)の2人組で、当時の最先端であったフェアライトCMIを駆使したサウンドと、今思うとアニメチックなボーカルが作り出す世界は、とにかくクールでオシャレでポップで、近未来のポップスを暗示してるような気がした。80年代は打ち込みの時代でもあったが、中頃になると、最初の頃のコンピューターに自動演奏させてみる、という次元を通過して、ファアライト等の機材を楽器と同じように使用する、つまり、コンピューターを人力の代用とするのではなく、最初からコンピューターありきで音楽を作る、というコンセプトの人たちが登場し、打ち込みには違いないけど、単なるテクノポップの進化系でもない刺激的でポップなサウンドを提示するようになった。そのムーブメントの先頭にいたのがPSY・Sだったと思う。   

で、「Brand-New Menu」である。僕が唯一持っているPSY・Sの音源がこれ。ちょっと見にくいと思うけど、帯に”アルバ・サクセスCMタイアップ曲"と記されていて、僕もCMでこの曲を知った(ちなみに、この”アルバ・サクセス”、時計だったと思う)。確か、ジャケットにも登場している人形が踊ったりする映像のバックに流れていて(音楽は最先端の打ち込みだけど、映像はまだCGではなかったように思う)、この曲良いなぁ、なんかユーミンみたい、なんて思ってたのだが、実はPSY・Sだと知ってからレコード屋に行ったら、この12インチに店が作ったPOPが貼ってあって、そこにも「ユーミンみたい」と書かれていたので、同じ事を感じた人は多かったみたい(笑)

買って聴いてみて、すぐ気に入った。やはり素晴らしい。CMよりいい(笑) とにかく斬新だけど分かりやすいメロディで、Aメロ・Bメロ・サビという構成には違いないのだろうが、それぞれが凄く良いメロディで、独立して聴ける感じ。ここいらはユーミンぽい(よく分からんぞ)。サウンドはやや無機質だけど、冷たくも暗くもなく、コンピューター(シンセ)でないと作りえない音って感じ。ボーカルも同様。エモーショナルではないがクール一辺倒でもなく、静かに表情豊か。くどいようだが打ち込みだけど、平坦でも単調でもなく、サウンドもボーカルも無機質なようでも惹き付けるものがあって、飽きずに何度でも聴ける。ほんと、新しいポップスだ、と当時は思ったね。現代でいうなら、YOASOBIみたいな事をPSY・Sは既にやっていたのだ。

昨年のことだったと思うが、久々にPSY・Sの名前をネットニュースで見て、そういえば12インチ持ってたなぁ、とこれまた実に久々に引っ張り出して聴いてみたら、やっぱり良かった。A面の「Brand-New Menu」はもちろんだが、B面の2曲もなかなか。ドラムの音とかに時代を感じないでもないが^^;、PSY・Sの音楽は今でも通用する、と思う。現在では、CDも手に入れにくいのかな。前述したけど、YOASOBIがウケるのなら、PSY・Sも評価されるだろう。

所で、久々にPSY・Sの名前をネットニュースで見た、と書いたが、その内容は決して明るいものではなく、ボーカルのChakaが、PSY・S解散後、ソロ歌手として活動していたのだが、PSY・Sの曲は歌うな、と言われていたので封印してた、と告白したというもの。誰に言われてたんだろうね。また何故なんだろう。ショウ・ビジネスの世界はよく分からん(苦笑)
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ライズ・アゲイン

2025年02月23日 10時53分15秒 | 音楽ネタ
いきなりだが、最近買ったCDから。



ハーブ・アルパートである。最初の頃、僕も間違えていたが、決してハープ・アルバートではない。気をつけましょう。パッと見よく分からないと思うけど(意味不明)

で、改めてハーブ・アルパートである。若い人はもしかするとご存知ないかもしれないので(笑)、一応簡単に解説しておくと、ハーブ・アルパートはトランペッターで、60年代から活動しており、自身のバンド、ティファナ・ブラスを率いて、「悲しき闘牛」「ディス・ガイ」といった曲を全米TOP10に送り込んでいる(「ディス・ガイ」は全米No.1)。この頃は、アメリアッチと呼ばれる、メキシカンな雰囲気を漂わせたサウンドが特徴で、「ビター・スイート・サンバ」は『オールナイトニッポン』に使われたので、知ってる人も多いだろう。また、あの有名なA&Mレコードの創業者としても知られていて、この社名は創業者2人の頭文字から取られたものだ。AはアルパートのA、Mはジェリー・モスのMである。

と、ここまでは、僕も後追いの知識で(苦笑)、洋楽に目覚めた頃、既にハーブ・アルパートは過去の人みたいになってた。70年代以降は地味だったしね。偉そうに言ってるけど「悲しき闘牛」も「ディス・ガイ」も実は聴いた事ない。そんな、過去の人と思ってたハーブ・アルパートが、1979年突如「ライズ」でヒット・チャートに返り咲き、あれよあれよという間にチャートを上昇し、ついに全米No.1になってしまったのには驚いた。当時『全米TOP40』を毎週聴いてたもんで、今でも覚えてる。インストでは珍しく、またハーブ・アルパートにとっても「ディス・ガイ」に続く2曲目の全米No.1だった訳で、しかも「ライズ」は決して昔の名前にすがっておらず、当時の空気を反映したモダンな作風であり、正にハーブ・アルパート華麗なる復活だったのである。ま、この当時ハーブ・アルパートは44歳、ベテランではあるが老け込む年でもない。

で、その「ライズ」をフューチャーしたのが本作である。ジャケットの印象は、当時流行りのフュージョンぽい感じだけど、中味もそんな感じかな。「ライズ」はクールでオシャレでファンキーなインストだけど、アルバムとしてはそういう曲ばかりでもなく、かつてのアメリアッチ風な曲もあるし、ラテン風もあるしで、バラエティに富んでいて飽きさせない。ハーブ・アルパート自身の淡々としたボーカルが聴ける曲もあるし、「アランフェス協奏曲」の哀愁漂うカバーなんて、必殺のテーマみたいな雰囲気。クルセイダースの「ストリート・ライフ」を取り上げている所にも時代を見る目を感じる。曲のタイプは様々だが統一感はあり、全体的にはフュージョン風にまとめたアルバムだが、ハーブ・アルパートのトランペットが独特の世界を作り出していて、さすがベテランという感じ。自身の個性を生かしつつ、当時のトレンドを上手く取り入れていて素晴らしい。

この「ライズ」、曲自体は当時から好きだったけど、アルバム買ってみたのは、昨年のレコード・コレクターズのフュージョン特集の影響であるのは間違いない。まだ引きずっているのだ(笑) ちなみに、そのレココレのランキングでは、洋楽フュージョン部門で21位だった。意外と高い。

続いては、



80年代の歌姫のひとり(と勝手に思っている)シーナ・イーストンの通算5枚目のアルバムのデラックス・エディションである。オリジナルは1984年発表。説明するまでもないと思うが、シーナは1980年のデビュー以降、順調にヒットを飛ばし着々とスターとしての足場を固めていたが、前作より、グレッグ・マティソンのプロデュースの下、アメリカでレコーディングを行うようになった。今にして思うと、それなりに最先端の音を求めてのことだろうけど、それまで売れなかった訳ではないし、アメリカナイズされたレコードをわざわざ作る必要もなかったのでは、なんて思ったりする。

ま、その辺の深い事情はさておき(笑)、この『プライベート・ヘブン』なかなかの出来栄えである。個人的には、デビューしてすぐシーナに飛びついたものの、この頃の作品にはあまり興味が持てず、レンタルで聴くのみにとどまっていた。が、今改めて聴いてみると、やっぱり良いなぁと思ったりする。ご存知の通り、本作からは「ストラット」「シュガー・ウォールズ」の2曲がTOP10ヒットとなり、シーナはコンテンポラリーな美人ポップ・シンガーとしての地位を確立する。やはり、最先端のサウンド、グレードの高い収録曲に加え、巧みに売れ筋も抑えていたりなんかして、そういった戦略的バックアップもあっての成功な訳だ。シーナ自身も結構頑張って成果を出せたのはめでたい。ただ、この後しばらく迷走してしまうのが残念だが。

前述のヒット・シングル2曲がダンサブルな曲であり、アルバム全体もそんな雰囲気はあるが、バラードもAOR風もあるし、ラテンぽい「バック・イン・ザ・シティ」なんかもあって、バラエティに富んだ内容だ。なんたって曲の出来が良いのがいい。このデラックス・エディションは2枚組で、1枚目はアルバム本体プラスシングル曲の12インチ・バージョン、2枚目はアルバム未収録曲やアルバム収録曲の別バージョン、がそれぞれ収録されているのだが、驚くのは2枚目のアルバム未収録曲(シングルB面)のグレードが高いこと。1枚のアルバムにこれだけ良い曲を集めれば、そりゃ素晴らしいものになるわな。また、インストゥルメンタル・バージョン(要するにカラオケ^^;)が数曲収録されているが、これを聴いてると、サウンド・プロダクションの凄さがよく分かる。ほんと一流の仕事だ。そんな一流の仕事に支えられ、シーナ自身も素晴らしい。当時の最先端(流行り)の音ではあるものの、それなりに自己主張が感じられるのもいい。傑作である。

ところで余談だが、シーナのヒット曲「シュガー・ウォールズ」はクレジットはないけど、実はプリンス作というのはよく知られていると思うけど、この曲随分前に”あの”PMRCに、「汚らわしい15曲」として名指しされた中の1曲であるらしい。なんというか、まぁ、タイトルを見ても意味深と言えば意味深だけど...^^; 興味ある方はこちらをどうぞ。
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Turning Back The Time

2025年02月11日 22時29分56秒 | 音楽ネタ
先日、第67回グラミー賞が発表された。なんとなく、グラミー賞の授賞式って2月の終わりみたいなイメージで、今年は早いな、なんて思ったけど、どうなんだろう? 

そのグラミー賞、今年の主要部門は、ビヨンセがアルバム・オブ・ザ・イヤー、ケンドリック・ラマーがレコード・オブ・ザ・イヤーとソング・オブ・ザ・イヤーの2冠、という結果になった。ビヨンセは最優秀カントリー・アルバムも受賞したというから驚きだ。とにかく、おめでとうございます。

個人的には、レコード・オブ・ザ・イヤーにビートルズの「ナウ・アンド・ゼン」がノミネートされてたのが、意外というかやや驚きだった。

そのグラミー賞ほどではないと思うが、アメリカにはロックの殿堂というのもあり、ここに入るのも一応名誉なことなのだと思う。殿堂入りするミュージシャンは毎年発表されているが、昨年、なんとフォリナーが新たに殿堂入りした。栄誉て言っていいだろう。ちょっと遅いかな、という気もするが(苦笑) 最初のレコードを出してから25年以上経った人(グループ)が対象になる訳だが、フォリナーの場合は47年が経過している。ファン投票と選考委員の投票で決まるらしいが、選考基準に、ロックンロールの発展に貢献している事、みたいなのもあり、フォリナーに対する一般の評価はそんなものなのだろう。仕方ないか。あのイエスですら、殿堂入りは2017年と遅かったし、ま、ファンとしては、ここは素直に喜んだ方がいいのだろうね。ただ、告白すると、僕はフォリナーの殿堂入りを式典が終わって2ヶ月以上過ぎるまで知らなかった(恥) 大変申し訳ありませんm(_ _)m

で、殿堂入りを記念してなのかどうかは分からないけど、タイミング良くフォリナーの新編集ベスト盤が出た。



皆さんご存知の通り、フォリナーってベスト盤がかなりの点数出ていて、はっきり言って訳分からない(苦笑) 実は僕もいくつか持っているが(『Records(1982)』『The Very Best...And Beyond(1992)』『Anthology : Juke Box Heroes(2000)』『40 : Forty Hits From Forty Years(2017)』)、どれも似たような内容なんで、フォリナーのベストはもういいかな、それより新作出してよ、なんて毎回思っていた。そこへきて今回の『Turning Back The Time』である。最初はスルーする気でいたが、新曲が一曲収録されていて、なんとルー・グラムが参加している、なんて話を聞いてしまうと簡単に素通りは出来ず、とりあえずカートには入れておいた訳だ(笑) そしたら殿堂入りを知ったもんで、ご祝儀のつもりと言い訳しつつ注文してしまったのであった(笑)

収録曲は、いつも通り70年代から80年代のフォリナー珠玉のヒット曲がずらりと並び、案の定というか何というか、『Unusual Heat』と『Mr. Moonlight』からは一曲もセレクトされてない。それどころか、ライナーに掲載されているディスコグラフィーでも、この2枚はカットされている。気の毒に。黒歴史なんだろうか...ま、それは置いといて(笑)、何度聴いても色褪せないヒット曲たちは、ほんと素晴らしい。ただ、どれもシングル・バージョンで収録されているのに『Long Long Way From Home』だけはアルバム・バージョンだった。何故だ? ま、いいか(笑)

で、肝心の新曲であるが、結論から言うと、素晴らしい出来映えだ。ま、過去のフォリナーの実績からすれば、これくらいの曲はフツーに作れるとは思うのだが、でも良い曲と思う。なんたって、ルー・グラムが歌っているのである。これだけでも感激だ。曲自体は、ミックとルー、そしてミックと最近一緒にやっているマーティ・フレデリクセンとの3人の共作で、レコーディングはミックとルーに、このマーティ・フレデリクセン(G、Bs、Perc)とエヴァン・フレデリクセン(Ds)(兄弟ですかね)を加えた4人で行われたらしい。録音は最近なのかなぁ。録音日時、場所などの詳細はクレジットがないので分からないが、ルーの声が若い頃とは違うけどルーには違いないし、歌いっぷりだってやっぱりルー・グラムだ!という感じで、実に素晴らしい。今のルーがこれだけ歌えるのなら、喜ばしいというか感動の極致だが、昔の録音かもしれないしな...いや、でも、良いです。どこへ出しても恥ずかしくない、感激のフォリナーの新曲なのである。

先ほど、本ベスト盤のリリースが殿堂入りと関係してるかどうか分からない、書いたが、それは間違いで、やはり殿堂入り記念らしい。ブックレットにミック・ジョーンズのコメントがある。せっかくなので紹介させて頂きます(意訳:MFCオーナー)

「フォリナーの殿堂入りは、私のキャリアに於いて、金で買えない最高の場面である。2024年10月19日は、私、ルー、アル、デニス、リックにとって、感動的な日としてずっと記憶されるだろうし、イアンとエドの家族にとっても、特別な日となるだろう。殿堂の名誉議長ジョン・サイクスと選考委員会議長のリック・クリスは、新しい時代の包括性と関連性の中でリーダーシップを発揮し、殿堂のあるべき姿に反映させた。私たちは、この一員になれた事を誇りに思う。私はこの曲たちのコレクションが私たちをここへ連れてきたと思うし、我々の行き先を照らしてくれるいくつかの最近の録音も併せて、私と同様にそれらを聴く全ての人々もそうだ、と意味する事になるだろう。」

後半は何だかよく分からないが^^;、ま、そういう事なんだろう(爆) ちなみに、断るまでもないが、10月19日は記念式典が行われた日。ま、なんとなくだけど、このコメントに、ミック・ジョーンズの殿堂入りに対する複雑な思いを感じてしまうのは僕だけか?(笑)

僕だけではなく、大半のフォリナー・ファンにとっても、殿堂入りは大した問題ではないと思う。本ベスト盤を聴いてみても分かるように、フォリナーが今までに数多くの素晴らしい作品を発表し、それらをヒットさせてきたという事実が重要なのだ。本作に収録された18曲(新曲1曲含む)は、今までに何度聴いたか分からない、でも今でも聴くたびに新たな発見があり感動がある。実にエバーグリーンな名曲たちなのだ。誰が何と言おうとフォリナーは凄い。デビューから48年、ミック・ジョーンズも80歳になり、正直言うと、新作も来日公演もこの先期待出来ないけど、僕はずっとフォリナーのファンであり続けます。よろしく(って誰に言ってるんだか。笑)
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