皆さん既にご存知の通り、読売新聞社社長や読売ジャイアンツのオーナーなどを歴任したナベツネこと渡邉恒雄氏(読売新聞グループ本社代表取締役主筆)が亡くなった。享年98歳。長らく読売新聞およびジャイアンツに君臨し大きな影響力を誇ったのは周知の事実で、正に我が世の春を謳歌しての大往生と言えよう。慎んでご冥福をお祈り致します。
ま、確かに、"読売のドン"という称号がふさわしい人だった。もちろん、新聞記者出身だが、記者というより実業家みたいな人だったように思う。読売系列の新聞では、渡邉恒雄氏(以下ナベツネ氏)の功績として、新聞業界やプロ野球界に多大な影響力を誇り、読売新聞やジャイアンツの発展に貢献し、圧倒的なリーダーシップで業界の改革を推し進めた、という意味の記事を載せていて、まぁ間違いではないが(笑)、確かに、プロ野球のFA制度確立の後押しをしたり、1リーグ制への移行を提唱したり、改革には積極的だったように見えるが(野球ではないが、当時Jリーグ・チェアマンだった川淵三郎氏とのバトルも記憶に新しい)、実際にはプロ野球の事を考えてというのではなく、単にジャイアンツが有利になるように画策してただけで、そういう意味でも実業家って感じ。要するに、自分ファーストなのである。全体の事なんて考えていないのだ。僕が、ナベツネ氏の事を凄いとは思いつつも、好きになれなかったのは、この点にある。
かなり前だが、魚住昭著の『渡邉恒雄 メディアの権力』というルポを読んだ事がある。これだ。ナベツネ氏の礼賛本ではなく、攻撃してる訳でもない、実に冷静に公平に事実に忠実にナベツネ氏について書かれた本だ。いち新聞記者だったナベツネ氏が、仕事で得た人脈を駆使して、闘争に勝ち抜き、頂点に上り詰めていくさまを読んでると、やはりこの人はジャーナリストなんかではないな、と思う。でも何故、読売新聞グループという民間企業とはいえ、長期に渡りトップに立ち、思うままに権力を振るう事が出来たのか。故中曽根康弘氏は、「君のおかげで首相になれた」とナベツネ氏に感謝したそうだが、相手は一介の新聞記者である。こんな事言うかね普通。凄い人だとは思うけど。
ま、そういった影響力も業界内部の事に過ぎず、他の世界からの反応は冷ややかだったようだ。そういう意味でも、結局自分とこの利益しか見えてない実業家だったのだな、と思わざるを得ない。ただ、今後の読売新聞に与える影響は気になる。なにせ、我が社にとっては一番の顧客なもんで(笑)
さて、早いもので2024年も残すところ10日程になった。年の瀬は何かとせわしないが、その"わさわさ"感がなんとなく楽しかったりもする。そんな、我々にとって年末の風物詩となりつつあるのが、これだ。
はい、年末恒例、ベートーベンの『交響曲第9番』の演奏会である。今年もNHK交響楽団、場所もNHKホール、とほんと恒例になってしまった。第九聴かなきゃ年越せない、みたいな感覚になりつつあるのが怖い(笑)
演奏会自体は、なんたってN響である。実に安定した素晴らしい演奏だった。やはり、生楽器の生演奏を体験するのは良い事だ。気のせいかもしれないが、今回は特に良かったような気がする。合唱隊が違うのだろうか。たぶん、気のせいと思うけど(笑)
N響の人たちは、毎年それも何年も続けて、この時期第九を演奏している訳で(N響に限らないけど)、ほとんど楽譜見ないでも弾けるんだろうな。もしかすると、練習しなくても、当日の音合わせ程度で大丈夫なのかも。
クラシックの演奏会の場合、暗黙の儀式みたいなのがあって、毎年第九を聴きに行く度に思うのだが、演奏が終わった後、鳴りやまぬ拍手と歓声の中、指揮者と合唱ソリストが、何度も舞台袖に引っ込んだり出てきたりして、観客に応えるという場面があって(カーテンコール?)、これ必要なのだろうか。いや、あってもいいけど、ここまでせんでも、なんて思ってしまうのだ。指揮者及びソリストたちは、観客に応えるだけで、挨拶をする訳でもないし、もちろん演奏する訳でもない。「おおきにおおきに。ほな、もう一曲やりまひょか」なんて事には決してならないのである。観客もそれを分かってて拍手し続けているのだろうけど、「そろそろ終わってくれないかな」なんて思っていたりなんかして(笑) 知らんけど。それと、曲が終わったら、間髪入れずに拍手するものらしくて、これも何とかならんのかな、と毎回思う。ま、いいけど(笑)
今日M-1の決勝が行われる。これもいつの間にか年末の風物詩となった。確実に、2024年は終わろうとしている。