Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(91)

2018-06-04 10:00:31 | 日記

 しかし、世間一般の女の子とは隔絶した世界にいて、おかみさん達の井戸端会議、世間話や痴話話とは程遠い世界の話が主である中にいた訳です。私は他の子供達や、特に母親とよく一緒にいる世間一般の女の子達とは話題がかみ合わない状態になっていました。この時期の私は、如何しても母より父と話が通じるという具合に育ってしまっていたのでした。

 それは外の世界に出ても同じ事でした。世間一般の家庭婦人、おばさん達とも話がかみ合わないという結果になってしまっていたのです。しかも、地域の商売人、この時期の子供が皆大抵はそうであるように、方言が世界の全て、全盛期の時代です、窓辺の婦人の声はアクセントも言葉も標準語であった事が、この時の私の理解をより困難な物にしてしまっていたのです。

 「ねえ、おばさん、『あなたわ』って、何の事?」

そう窓辺の婦人に私は尋ねてみる事にしました。勿論彼女の言った通りのアクセント、言葉遣いででした。

「あなたは」

彼女は口にすると、「あなたは、よ、分からない?おや、」と言うと、困った様に頬に手を当てて神妙な顔付きになりました。「困ったお饒さんだわね。」と呟くと、口の中でもごもごと、彼女は言葉の意味が分からない子供にどう説明しようかと考えていました。

 考えあぐねた彼女は遂に、『あなたは、が分からないなんて、そんな子もいるのね。』と放心すると、「その方が奇妙で不思議な事ね。」と呟くのでした。彼女は仕方なく、

「あなたよ、あなた、あなたの事よ。」

と単語を連続して口に出してみます。それが私には「穴たよ、穴た、穴田の事よ。」という風に聞こえるのですから、私の頭に浮かぶのは穴や田んぼの光景ばかりとなるのでした。そこで、直近に聞いた言葉の方の理解に困った私にすると、「穴の事?田んぼの事?」等と、口に出して更に彼女に問いかける結果になるのでした。


土筆(90)

2018-06-04 09:15:14 | 日記

 「それは、おばさん達が楽しそうに話をしていたからよ。」

そう答えようとして私はハタと気付きました。私は婦人の言葉の中に、自分が分かる言葉と分からない言葉がある事に気付いたのです。『分かる方はそれでよいとして、分からない言葉は如何しよう、』この儘返事をしていいのかどうかと私は迷います。私には「無責任ね。あなたは。」の言葉の中に、全く分からない言葉があったのです。

 昨日の事、私が家に帰ると、1人で帰宅した私に父は母は如何したのかと尋ねました。「こんな小さい子1人で帰して、無責任な奴だ。」また、「ちゃんと面倒を見てくれると思っていたのに、あいつも無責任な子だなぁ。」と、これは従兄へ。そして、「あの子も面倒を見てくれなかったのか?困ったなぁ」とこれはどうやら従姉の方への言葉なのだと気付くと、ここで私は父の言う事が大体分かったのでした。しかし新出して来た言葉、「無責任」について、私はその後父に尋ねなければいけなくなりました。「むせきにん、て?」何の事、という訳です。それで父は何時もの様に、無責任というのはなぁと、責任が無い事だよと私に説明してくれたのでした。

 この時、私は責任という言葉については以前から習い覚えて知っていたので、父も説明は楽なようでした。前に教えた「責任」の言葉の前に「む」をつけてなぁ、む、が言葉の前につくと、後の言葉をしない、それが無いというような意味になるんだ。「よく使うぞ、覚えて置け、言葉の前に『無』を付けるのを。」「む」は元々無いという意味の字だ。という具合でした。「無利子」利子が無い、「無料」料は料金の事で料金が無い、つまり只だという事だよ、等。父は大抵は例を挙げて説明してくれるので、子供の私には分かり易い説明でした。そして、父は祖父の商いの手伝いをしていただけに、言葉の例は大抵は損得の商売関係の言葉でした。私の子育ては主として父がしていましたから、私は幼い頃から父に連れられて外出する事が多く、自然聞き慣れているのは商売の言葉であり、それが例に挙がるのですから、私としても不思議とこの手の言葉の理解は進んでいました。


友人の結婚式

2018-06-04 09:00:55 | 日記

 1人会費制の結婚式をした友人がいました。式は神社でしたが、その後の披露宴を会費制にしていました。理由は、皆がご祝儀を持ってくるのでその後が面倒だからという事でした。

 私は出席の為、朝から簡単な服装で出掛けました。片道電車で3時間程かかりました。途中乗り換えです。開催地の駅について、土地勘が無いのでタクシーです。会場の神社でお願いして、持参した改まった服装に着替えさせてもらいました。服は一応ホーマルのワンピースにしていました。アクセサリーなども神社に着いてから、当時独身だった私は見栄えよくざらりと付けました(笑い)。それまでの振袖と違い、身軽に、気楽に出席できました。そんな点は本当にありがたい結婚式でした。