「義姉さん何時もあんななのかい?」
彼は姪に言葉を掛けました。まあねと事も無げに明るく笑う姪の顔を見ていると、彼は自分の娘の事で彼女に少し文句を言いたかったのですが、その気が削がれてしまいました。彼は如何しようかと言い淀んでいる内に言葉を失ってしまいました。
「叔父さんなぁに?」
何か私にお話しがあるみたいだけど、と彼女は叔父の顔を見上げるとその様子を仔細に窺います。「ああ、まあなぁ。」と、彼はこんな場合何を如何言おうかとまだ思いあぐねていましたが、
「お前も何かと大変そうだから、叔父さんの話は今度にしておくよ。」
と自分の娘の話はしない事にして、彼は姪に背を向けて兄の家の奥へ戻ろうとしました。
「叔父さん。」姪は彼を呼び止めました。「…ちゃんの事じゃ無いの?叔父さんの話って。」と彼女は叔父の娘、自分の従妹の名前を出しました。
叔父さん私に何か文句があるんでしょう?。そう問いかける姪に、彼は振り向きややギョッとした目つきを投げかけました。が、次の瞬間ふっと息を吐くと、
「お前が男なら俺達の父さん、お前の父さんと私の兄弟で、俺達だよ。その父の事だから、お前からするとお祖父ちゃんの事だが、父さんもまた違った考えを持ったかもなぁ。」
そう言いながら彼は姪の方へと向き直りました。