Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(179)

2018-09-04 11:21:30 | 日記

 彼女が恨めし気にちらっと蛍さんを見ると、蛍さんはまだ彼女にはニコッと笑って見せてくれます。茜さんは少しほっとしました。が、この笑顔が何時まで続くことやらと考えると、

『ホーちゃんまだ気が付いてないんだ。』

と思います。私が蜻蛉君の事をあの子に紹介したことに、ホーちゃんはまだ気付いてないんだ。

『ホーちゃんが気が付く前に、早くにこのゲームが終わりますように。』

そして早くに家に帰りたい。茜さんはぶつぶつと内心祈るのでした。茜さんは冷や冷やものでしたから、遊びには気もそぞろとなって勝負などもう如何でもよくなってしまいました。そこで、彼女は時間を掛けて嫌々スタート地点へ戻って来ます。渋い顔をして気が乗らな次の一投を待つのでした。

 そんな従姉妹同士2人の様子を目の前で子細に伺いながら、蜻蛉君は石を投げるふりをしてスタート地点の茜さんに一体あの子はどうなっているんだと問い掛けました。

「変だろう、にこりともしないで、俺の話も聞こえていないらしい。」

俺ちゃんと日本語をしゃべってたよなぁと、時折海外にも出かける蜻蛉君は自分がうっかり外国語の方を喋ったのではないかと自らを怪しんで、一緒にその時その場にいた茜さんに確認してみました。

「日本語って?」

茜さんの方が、今度は蜻蛉君の事を不審がるのでした。


揃えています

2018-09-04 10:55:52 | 日記

 一応持ち出しリュックでまとめてあります。もう6年くらい経つので、一度食料関係の交換をしました。お陰で保存食の味見が出来ました。缶入りパンや乾パン、お馴染みの食料です。まあまあ食べられる味でした。水もありましたが、こちらは味の覚えが無いので、そう印象に残る味ではなかったようです。

 現在丁度、防災グッズの販売時なので缶入りの食品が売られてるのを見かけました。また乾パンを買ってきました。母用にも1缶、気安めですが買ってあります。安心してね。でも、災害に見舞われたら家に帰って来るのかな?母は。そうすると家に置いておいた方が良いのかもしれませんね。


土筆(178)

2018-09-04 10:15:55 | 日記

 さて、その蜻蛉君の声にも茜さんは直ぐには返事が出来ません。ここで彼に愛想よく返事をしたら、彼女は蛍さんにきっ!と睨まれてしまうという事がよく分かっていました。茜さんは今迄の経験からその経過をよく知っていたのです。

 彼女は蜻蛉君の呼びかけにそ知らぬふりをしながら、やはり従妹同様このゲームを途中で切り上げて帰る事が出来ないのでした。その理由も彼女の従妹と同様な物でした。蛍さんの父から茜さんの兄の曙さん、曙さんから茜さんと、最後まで頑張るという教育スタイルが伝わっていたのです。

 そこで、茜さんも時間を掛けて嫌々スタート地点迄戻って来ました。蛍さんに負けず劣らずの渋い顔をして、気の乗らない一投を投げたのです。石は妙なバウンドをすると、先に進まずに蛍さんのコースにある穴にすっぽりと入り込みぐずぐずと振動し、そしてそのまま留まりました。彼女はげんなりしました。

『やっぱり、ホーちゃんが怒るとこうなるんだから。』

そうなのです、彼女がこのだんまりとツンツン態度を始めると、回りの遊び仲間達は、茜さんは勿論、例えば曙さんやその兄の東雲さんまで、皆思うような遊びの結果が出なくなるのでした。

 これは心理的な物と言えばそうなのかもしれませんが、何だか急に何かに祟られているような嫌な抑圧感が彼らを襲うのでした。しかも、蛍さんが臍を曲げると如何いう訳か天候迄崩れて来るのですから、その効果は絶大、神がかってさえいるように感じられるのでした。元々今の場合同様、自分達が悪い場合に起こる現象ですから、其々に後ろめたさがあり彼等はぞ―っと背筋が寒くなるのでした。そしてそんな恐怖に震える中、その遊びを彼等は最後まで続けなければならないのです。「物事は最後まで」の叔父の言葉のおかげで。