だから、本とにあの子に自分や他人のした事を押し付けると、本人は勿論、こうもの凄く怒ってね、こっちが後から冗談だって言っても全然受け付けなくて、それであの子は泣くわ喚くわで大騒ぎだし、こっちはこっちでその場で収まらなくなっててね、その後が怖いのよ。こう、雷とか、怪我とか、伯父さんの家なんて庭の木に雷が落ちてね、人に怪我は無かったけど、こんな事今までなかったって、伯父さんなんて青くなって震え上がってて、あの時は相当怖じ気づいてたもの。
ちゃんと先に伯父さんには言ってあったのに、伯父さん全然信じなくて、今のあんたと同じよ、偶然だとか冗談だとか言って、伯父さん止せばいいのに、ふざけて、自分で湯飲み茶椀を転がしてお茶をこぼして置いて、あの子に「これはあんたがやったんだ!」って思いっ切り叱りつけたんだって、兄の話ではね、私が行った時にはもうあの子泣いてたもの。伯父さんあの子の事そのままにして帰って、家に丁度帰ったとこだったんだって、雷が落ちた時。
伯父さんあの時本とに雷みたいな声であの子を叱ってたわ。あの子わんわん泣きながら自分じゃ無いって言ってて、「謝らない子は悪い子だ、閻魔様に舌を抜かれるんだぞ!」って言われて、伯父さんのその閻魔様みたいな勢いに、あの子言い訳しそうになりながら出来ないらしくて口籠ってたわ、伯父さん「お前の言うことなんか聞かん、嘘を言うな!」って言ったのよ。そしてそのまま帰って行ったら、そうしたら本との雷が、伯父さんが家に入った途端、こうドンピシャだったんだって。ガラガラ、ドカーン!って、落ちたんだって。うわーって、びっくりだったって、耳がこう、痛いというか目が眩むというか、嘘かもしれないけど、伯父さんその時怒った顔の閻魔様の顔まで目の前に見えたって言うのよ、しばらく口が利けなかったんだって、伯父さん。
それで、伯父さん、肝がこう相当縮んだって言ってたわ。これで寿命も相当縮んだだろうって。当時の伯父さんは本とに青い顔しててね、とんぼ返りっていうか、私達の家にまた直ぐに戻って来てね、うわー、何とかしてくれーって言うのよ。こう何時も朗らかで赤い顔してる伯父さんが、あんなに酷い青い顔色で、物凄く弱ったような困った顔になったのは、私あの時初めて見たわ。